254章 お正月には必ず餃子を食べる_1

"冬美はしばらく深く考え込んだ。

この子は何度も手を差し伸べて助けてくれたが、自らの功績を誇ることはなく、人当たりは非常に親切で、妹たちが一日中わがままを言っても怒ったことはなく、自分が彼に反抗するときでさえ、彼はただ事実を述べ、大きな道理を語ったり、人を罵ったりすることはあったが、「もうやめてしまう」などと脅すようなことは一度も言わなかったし、彼が謝罪を強いることもなかった……

この一点だけでも、春菜でさえ彼を認めており、彼を成熟で堅実な人として見ており、人格も非常に優れていて、普通の男子学生にはないものだ。

どの角度から見ても、我が家は彼に多大な恩義がある。そして新年が来たからには、彼の顔を立てるようなことをして、彼が迎いに来る前に手厚い礼を彼の家に持っていくべきだ。そして、彼の両親に感謝の意を表すべきだ。我が家が礼儀を知らないと叱られ、感謝の意識がないとされ、他人の親切さを当然のことだと思って恥を知らない者だとされるのを防ぐべきだ。だからこそ、彼の家が遠い方がいい。そのほうが心から感謝していることを見せられ、彼に特別な思いを持つことができ、彼に特別な顔を見せられるからだ。

しかし、誰を向こうに送るべきだろうか?次女?ダメだ、彼女は北原家を食いつぶすことだろう、今の目的は北原家に感謝することで、仕返しをするために人を送るわけではない。三女?彼女はまだ若すぎて、彼女を向こうに送ると、重視していないと感じられるだろう…。ヨン、リトルファイブ、太郎、ましてや彼らなど、全く考えられない。

それとも自分が行くべきか?自分が行ったら、家のことはどうするんだろう?新年に自分が家にいないなんて、帰ったら屋根がなくなってしまってるかもしれないだろう!

"一方、北原秀次も深く考え込んだ。

彼は盂蘭盆節に帰省することを約束していた。その時は陽子(ようこ)がまだいて、彼女を盾にして一緒に帰ろうと考えていた。彼女の陽子はとても可愛くて甘えん坊だから、元の親の注意をそらすのは楽勝だろうと。そして、自分は彼女と一緒に三、五日過ごしてから、また一緒に帰ってくれば、そこで一苦労が終わるわけだ。

けれど今は陽子が神楽家のお嬢様になってしまって、彼女を連れて帰ることはもうできない。だから雪里の考えって……それは無理、雪里を連れて帰るのは?