第268章 大蔵神社_2

北原秀次は大蔵神社についてはそれくらいしか知らなかった。これも来る前にネットで断片的に調べただけで、雪里に適当に説明しながら、足早に歩いていた——冬美から離れたかったのだ。この恩知らずの奴は本当に腹が立つ!

百合なんて、新時代なのに、差別するわけでもないのに、そんなに怒ることないだろう?

一行は山登りをしていた。早朝の鳥のさえずりが心地よく、空気は冷たく新鮮だった。しかし、少し歩いただけで北原秀次は秋太郎を背負い、雪里も動こうとしない鈴木希を抱えることになった。夏織夏沙が先頭で道を探り、春菜と冬美は遥か後方についてきていた。

距離はそれほど近くなかった。おそらく当時の村民は大蔵老人が死後、山を守護し新しい山神となることを願って、山腹に葬ったのだろう。結果として、彼らは五十分以上かけてようやく到着した。

…………

高さ約五メートル、幅三メートルの漆黒の洞口の前に、皮付きの原木で作られた「開」の字型の鳥居があった。周囲は麻縄と白紙で結界が張られ、神社が外邪の侵入から守られていた。上には銅鈴が掛けられ、野獣が誤って入り込まないよう驚かすためのものだった。

日本の神社には必ず鳥居がある。これは人間界と神界の境界線で、鳥居をくぐれば神域に入ったことになり、言動を慎まなければならない。鳥居は細かく分類すると数十種類あるが、大まかに見ると二つに分類できる——人から神となったものと自然神である。

「開」の字の一番上の横棒が平らなのは自然神で、例えば山神、河神、雷神や巨大な熊や猪などである。

「開」の字の一番上の横棒の両端が反り上がっているのは、人から神となった証である。目の前の神社の鳥居もそうで——大蔵は生前は人間で、死後は神となった典型的な例である。

他の場合も同様で、例えば中国の関羽も日本に神社があり、鳥居も両端が反り上がっている。

鳥居の基礎部分には二つの石像があったが、年月を経て風化が激しく、どんな動物かはよく分からなかったが、なんとなくユーモラスな感じがした。