第313章 後天性の脳水腫_2

そんな奴のために小さな過ちを記録する価値もないわ!

冬美は少し色っぽく彼を横目で見て、小さなバッグを探り、みかんを取り出した。「大したことじゃないわ。私が剥いてあげる」

二人はまた頭を寄せ合って話し始め、小声で笑い合っていた。今度は誰も文句を言う勇気がなかった。小由紀夫は座席で身を縮め、両手を強く握りしめ、周りのクラスメートの顔を見る勇気もなかった。車内では再び私語が始まり、一年生に直接謝罪したことを嘲笑っているような気がしたが、詳しく聞く勇気もなく、本当にそうだと分かるのが怖かった。

北原秀次を利用して威信を高めようとしたのに、逆に北原秀次に面子を丸裸にされ、これからはクラスの最底辺に落ちることになりそうだった。

しばらく身を縮めていた後、こっそりと北原秀次の背中を見つめ、その目には憎しみが満ちていた。「鳥取県から来た貧乏人が、よくもこんな真似を...東連は俺の半分のホームグラウンドだ。そこで思い知らせてやる!」

…………

小さな騒動の後、北原秀次は気にも留めなかった。小由紀夫のような人間は気にする価値もない。おそらく甘やかされて育った典型的な内弁慶で、口だけは強いが実際の戦闘力は取るに足らない。

心性が実行力を決める。この手の人間は悪意を抱く勇気はあり、悪質な計画を考える勇気もあるが、自分一人では99%の確率で実行する勇気がない。たとえ誰かが手伝ったとしても、自分は今や日本の環境に適応し、幼生期から安定成長期に入っている。何か起これば対処法を考えて叩き潰し、学校から追い出してしまえば一件落着だ。

そんな人間のために怒る価値すらない。蠅は叩き潰せばいい、怒る必要なんてないのだ。

豪華なバスは走ったり止まったりを繰り返しながら東京目黒区に入り、五本橋で停車した。ようやく目的地に到着したが、私立大福学園の生徒たちは誰一人として動かなかった。ただ窓の外を眺めて呆然としていた。窓の外では人の波が整然と巨大なオフィスビルへと流れ込んでいた。