私立大福学園の五十名余りの生徒が素早く車を降り、それぞれ手荷物を持っていた中、北原秀次は軽々と冬美の大きなリュックも手に取った。
北原秀次は最近、冬美との親密さを人前で見せることが多くなっていた。冬美は内心では嬉しかったものの、少女の矜持を保つため、口では抗議せざるを得なかった。小さな手を伸ばして「私が持ちます!」と言った。
「いいよ、僕が持つから」北原秀次は微笑みながら答え、リュックを返すことを拒否した——この彼女は小柄すぎて、大きなリュックを背負うと亀のように見えてしまう。やはり自分が持とう!
結婚を目的としない恋愛は全て遊びに過ぎないが、恋愛過程のない結婚も同様に軽率だ。小ロブヘッドの彼氏になると決めたからには、真剣に務めを果たし、彼氏としての責任を完璧に全うして、将来彼女が自ら進んで嫁いでくれるようにしなければならない。
もちろん、雪里の方も同じだが、彼女は...少し特殊なケースで、お腹が満たされれば至る所で暴れまわり、扱いは特に簡単だ。
冬美も口先だけの抗議で、バッグは北原秀次に持たれたまま手ぶらで彼の傍を歩き、他の生徒たちと共に別館に入った。東連の担当者たちはすでに長時間待機していた。
東連の担当者は男女一人ずつだった。
女性は三十歳そこそこで、普通の容姿、黒い小さめのスーツを着用し、胸には銀色のバッジを付けていた。スーツの中は襟に刺繍の入った女性用シャツで、下はスカートではなくスラックスを履き、ヒールもそれほど高くなく、全体的に見ると端正な中に女性らしい柔らかさが感じられ、第一印象は良好だった。
一方、男性の方が若く見え、二十四、五歳くらいで、黒いスーツ姿で眼鏡をかけており、知的で温厚な印象を与え、やや内気な様子で、おそらく社会人になって間もない補佐役といった立場のようだった。
この二人は私立大福学園の一行がホールに入ってくるのを見ると、進み出て迎えた。女性は笑顔を浮かべ、両手を腹の前で重ねて礼をしながら「東日本合同銀行本店へようこそ。広報三部渉外課の吉野良子と申します。よろしくお願いいたします」と挨拶した。
「広報三部渉外課員の尾藤信次です。よろしくお願いいたします!」男性は両手を体の側面にぴったりとつけ、きっちりと90度の大きなお辞儀をした。