第204章 この速さ、救いようがないほど速い!

監視画面を通して、雲霧道人が詩興に駆られているのを見た時、宋書航は思わず黄山真君の方をそっと見た。

「黄山大バカ」というこの呼び名は、豆豆が毎日口にしているものだ。しかし豆豆は黄山真君の可愛いペットであり、「黄山大バカ」と呼んでも、真君はただ豆豆がちょっとおバカで可愛らしいと感じるだけだ。

しかし目の前のこの雲霧道人は、中年のおじさんの姿で、少しも可愛くない。彼が詩を詠みながら「黄山大バカ」と呼んでいるが、このあと黄山真君に一撃で殺されたりしないだろうか?

「ふふふ、どうやら私が改良した最新版の『五指山封印法』の威力を味わわせてやる必要があるようだな。今回は老夫が奴を死ぬまで封印してやるぞ!」黄山真君は怒りながら冷笑した。

宋書航は黙って雲霧道人のために三秒間の黙祷を捧げた……

その時、監視画面上で、雲霧道人が突然その場で固まり、頭を上げて四方を見回した。彼の体は緊張し、時々空を見上げていた。

しかし、黄山真君が前に禁地の霧の濃さを増したため、雲霧道人はこの厚い霧の層を見通すことができなかった。四方を見回しても何も見えない。

「なぜ老夫が封印から出たとたん、極度の動悸を感じるのだ?もしかして黄山のやつがまだ私の周りに何か二重の罠を仕掛けているのか?」雲霧道人は独り言を言った。

しかし問題ない、本道はすでに封印を破って出てきた、これからは海は広く魚が跳ね、空は高く鳥が飛ぶ!

「剣よ来たれ!」雲霧道人は軽く叫び、彼のボロボロの袖から一つの剣丸が飛び出し、剣光に変わった。彼は軽く遁光に乗り、空へと飛び上がった。

「我は風に乗りて帰らん~一筋の剣光五千里なり!敵の首を断つこと鶏を断つが如し!」

彼のこれらのめちゃくちゃな詩からわかるように、雲霧道人は古い詩を好むが、全く才能のない男だ。そして、彼は封印されていた時間が長すぎて、身なりはボロボロで、文人のイメージは全くない。

雲霧道人が飛んで遠ざかっていくのを見て、宋書航は急いで尋ねた:「真君、彼を再び捕まえて封印しないのですか?」