第293章 火炎刀*簡易版

火炎刀は、修真界ではただの一般的な刀法に過ぎない。

その品階は二品レベルであり、つまり一品レベルの修士はこの技を快適に使用することができない。火炎刀の型を習得しても、使用時に刀から火花が出ることはない。

修士が体内の気血の力を真気に変換してはじめて、「火炎刀」の法門を用いて真気を火炎に変化させることができる。

刀に燃え上がる火炎は破壊力を高めるだけでなく、宋書航が先ほどのように「火炎刀」を半月型の火炎刀気に変えて放つこともできる。

近接戦闘での威力も良く、遠距離攻撃のダメージも悪くなく、一般的な修士の刀法の中では、かなり優れた刀法と言える。

——そして宋書航が散修李天塑の記憶の中で見た、赤霄子道長が火炎刀を使用する時はさらに圧倒的だった。

一刀を振るう時、刀には無限の火炎が湧き上がり、その火炎は何物も燃やし、決して消えることがない!

それは焚天の一刀であり、世界全体を火炎の下に包み込む。

赤霄子道長が振るう一刀に対して、宋書航は傍観者に過ぎなかったが、それでも全身が熱く燃え上がるような感覚があり、口は乾き、血液さえも乾ききりそうだった。

……

……

今、宋書航の脳裏には赤霄子道長が木の枝を刀として、あの火炎刀を放った時の記憶が再び浮かび上がった。

この記憶は非常に鮮明で、赤霄子道長の手首の動きの一つ一つの小さな動作まで、宋書航ははっきりと思い出すことができた。

しかし刀法を使う動作が最も重要なのではなく、重要なのは赤霄子道長がこの一刀を放つ時の刀意、その焚天の火……それこそが赤霄子道長の意志の表れだった。

今、書航は赤霄子道長の刀意を身をもって体験したかのようだった。

空中で、彼は思わず自分の手首を回し、ぎこちなく赤霄子先輩の「刀意」を真似た。

次の瞬間。

「轟!」宝刀霸砕の上に、一層の火炎が燃え上がった。

ただしこの火炎は、古銅指輪に付随する火炎刀が燃え上がる時よりもはるかに弱く、いつ消えてしまいそうな感じで、霸砕宝刀の上にはわずかに薄い一層の火炎が覆っているだけだった。

とりあえず「火炎刀*簡易版」と呼んでおこうか?

どう言おうと、宋書航は成功した!

この二品レベルでしか使えない「火炎刀」を、彼は一品境界でありながら、無理やり発動させたのだ。