172章 あなただったのか

ハンセンは紀嬿然の彼氏だ。"私の彼女は紀嬿然"はハンセンのこと。ハンセンは紀嬿然の本当の彼氏。その事実はクラスメートたちにとって信じられないような驚きでもあったが、一方で納得もした。

そうだ、紀嬿然の本当の彼氏でなければ、誰がそんなIDを使うだろう。

とはいえ、このニュースは学校全体に大きな衝撃をもたらした。ブラックホーク軍学校の校花(キャンパスクイーン)がついに主を持つこととなり、そしてその主はハンセンだ。

紀嬿然は校花だったことは間違いない。だがハンセンもまたヒカルものであり、その輝きはさらに眩しい。

星宇カップをチームごと圧倒した戦甲の大神、ブラックアンドホワイトボクシングで第六神子を完敗させた強者、神の手で李玉鋒を20点倒した怪物。間違いなくブラックホーク軍学校の大神級生。

多くの人がこのニュースを聞いて、ハンセンが"私の彼女は紀嬿然"であることを知った時、ほんの僅かな驚きを感じた後、何も違和感を感じず、むしろ当然のように思えた。

一緒にいるハンセンと紀嬿然の写真さえも、とても美しいものに見え、何の不和も感じさせない。

二人が一緒に立っている時、他の人々は初めてハンセンが美形ではなくても鋭い顔立ちがあり、男らしい決意を持っていることに気づいた。さらに信じられないことに、彼の肌は紀嬿然のものと何ら劣らない。その透き通った美しい肌は、何人もの女性を嫉妬させた。

紀嬿然とハンセンが一緒に描かれた絵の中で、ほんの一部を切り取っただけでも美しい風景になり、それが当然のように思えてくる。もし彼ら二人の間に別の人が入ったら、それは完璧ではなくなるだろう。

まるで名剣が英雄に相応しいように、根本的に彼らは天によって定められた一組で、誰も彼ら二人が一緒にいることがおかしいとは思わない。

「待って、僕たち最近会ったことあるよね?」曲丽丽(訳注:日本の名前は不明)は驚きのあと、ますますハンセンが見覚えのある顔だと思い始める。突然、何か信じられないことを思い出したかのように目を見開き、ハンセンを指差して、「あなた……あなたは……寮の扉……」って言った。