171章 私は紀嬿然の彼氏です

「嬿然、誰か待っているの?」と曲麗麗が突然尋ねた。

「いや、そんなことないよ。」記嬿然はぼんやりと答えた。

「それなら、なんでずっと入り口の方を見ているの?」曲麗麗は疑問に思いながら尋ねた。

記嬿然は顔が少し赤くなり、慌てて目の光を逸らし、頭を下げてご飯に戻った。「私、入り口の方なんて見てないよ?」

「嬿然、おかしいよね。」曲麗麗は上から下まで記嬿然を見つめた。

「大神来たよ!」と突然、誰かが小声で叫ぶと、曲麗麗はすぐに入り口の方を見た。ハンセンと張揚が一緒に食堂に入ってきた。

曲麗麗はなかなか信じられないような目で記嬿然を見つめた。「嬿然、まさか大神を待ってた訳じゃないよね?どうして彼がこの食堂に来るって知ってたの?早く正直に話して。」

「勘違いしないで、誰が彼を待ってるっていうの?私がどうして彼がここに来るなんて知るはずないじゃない。」記嬿然は果汁を飲むことで、自分の動揺を隠すことにした。

しかし、曲麗麗はまだ何か言いたそうだったが、ハンセンと張揚が二人のテーブルまで来て食事を置く。そしてにっこりと笑いながら、「二人とも、ここに座ってもいいですか?」と尋ねた。

「もちろんですよ。」ゆっくりと頭を下げて果汁を飲んでいる記嬿然を見て、ハンセンを見て、何かを理解したように曲麗麗は笑って言った。

「大神と記嬿然が一緒に座ってるけど、二人、何かあるのかな?」

「そんなわけないじゃない、大神ってまだ学校来たばかりの数ヶ月だし?記嬿然と一緒にいるところなんて見たことないし。」

「でも、なんとなく二人の関係は普通じゃないみたいだよね。」

……

紀嬿然は今、食堂に来たことを少し後悔していた。さっきはつい興奮してしまったが、今、ハンセンが自分からやって来たので、彼女の心は少し冷めてきた。しかし、今、周囲の熱い目線が、彼女の顔を上げられないほど熱くさせていた。両手で果汁を飲んで目をそらすしかなかった。

「大神、これを機会に知り合いましょう。私の名前は曲麗麗。戦艦指揮科の学生です。こちらは私のルームメイト、紀嬿然。知っていますよね?」笑顔を浮かべて曲麗麗は手を差し出した。