紀邵軍が白蔹を連れて入ってきた。
紀樹の蘭はすでに白蔹に2年以上も会っていなかったが、再会した瞬間、どこか非現実的に感じた。
彼女の記憶とは大きく異なっていた。
彼女の娘が白いロングドレスを身に纏い、緑色のベルトが腰と腹部をわずかに締め上げて、風韻たっぷりに歩き込んできた。
手にはスマートフォンを持ち、少し気だるい様子、ボックスの照明が明るくなり、彼女が視線を向けると、漆黒の瞳はまるで墨で染められたように星光を反射させていた。
その男性も驚いた。紀樹の蘭が語る彼女の娘については、向こうは問題ばかりの少女だと思い込んでいた。
思ってみれば、とても品行方正に見えた。
そして紀邵軍。ヒューストンで育った彼が多少恐怖を感じるかもと思っていた。
しかし、それどころか落ち着いている様子だった。