烏項明は葉辰の手にある丹薬を見つめ、体が少し震えた。
これは丸々十個もの丹薬だ!
修練速度が三倍になる!
これを競売にかければ、間違いなく値がつけられないほどの宝物だ!
しかし葉辰は何の躊躇もなく彼に与えた。
彼の視線はゆっくりと下がり、その小さな本に落ちた。
そこには刀で刻んだような文字で『神炎訣』と書かれていた。
この心法がどのようなものか分からないが、葉辰の言葉ははっきりしていた。
烏家の功法はくだらない武学だと!
本当に凄いのはその小さな本の中身なのだと!
この瞬間、彼の瞳は少し赤みを帯びた。これは帰属意識だった!
彼は葉辰に精血を植え付けられ、本来なら奴僕として、どんな言葉も従わなければならない。
しかし葉辰は一度も彼を奴僕として扱わなかった!
烏家と比べれば、彼は葉辰の側で犬のような扱いではなく、生きた人間として扱われていた!