第601章 嵐の中心!

「龍を踏んで空を飛ぶ?」

叶晨は頭上の血龍を見上げた。この三滴の精血が神龍の血だとは思いもよらなかった。

あの時、紀家の娘があんなに慎重だったのは、何か貴重な丹薬だと思っていた。

今になって分かった。紀家は本当に大きな贈り物をくれたのだ。

この恩は大きすぎる。

しかし、五年前から、紀思清の存在だけでも、すでに紀家に恩を受けていた。

昆仑虚で何度も助けてもらった。

当時の自分は修練の道に入ったばかりで、何の基礎もなく、ただの凡人の素質だった。

輪廻の墓地もまだ完全には開かれていなかった。

紀思清と紀霖がいなければ、とっくにどこかで死んでいただろう。

本当に返そうとしても、いつ返せるか分からない。

「まあいい、紀家が危険な目に遭ったら、自分が手を貸そう」

叶晨は呟いた。