第611章 身分!(5番目)

松山村。

荒れ果てた狭い土壁の家。

薄暗い灯りの下には古びた家具ばかり。

物が山積みで、少し息苦しい雰囲気。

そして今、気を失った叶晨が静かにソファーに横たわっていた。

ソファーはかなり古びていた。

叶晨を家に連れ帰った少女は台所で料理をしており、できあがると寝たきりの父親の前に運び、一口一口丁寧に食べさせた。

父親の様子を見て、少し胸が痛んだ。

三年前まで、彼女には幸せな家庭があった。

裕福とは言えないが、それなりに暮らしていけた。

しかし不運にも、父親が江南省のある建設会社で働いていた時、誤って高所から転落してしまった。

命は取り留めたものの、全身麻痺で寝たきりとなってしまった。

母親はプレッシャーに耐えきれず、一ヶ月後に出て行った。

行方は分からない。

祖父と二人きりで助け合って生きていくしかなかった。