「葉辰、伯母は走火入魔になってしまったのではないか?」
葉辰が話そうとした瞬間、極めて強力な突破の気配が押し寄せてきた!
それだけではなく、蒼穹の上では雷劫が猛烈に荒れ狂っていた!
葉辰はその雷劫を見つめ、表情を歪めた!
なぜなら、母が今や神遊境に踏み込もうとしているのを感じ取ったからだ!
これは恐ろしすぎる!
自分は5年も修練を重ね、さらには輪廻墓地という天に逆らうような存在があったというのに!
母に無数の丹薬を供給したとはいえ、こんな突破速度はありえないはずだ。
たとえ母が当時の華夏最強の天賦の持ち主だったとしても、これほど誇張的なはずがない!
彼は初めて、自分が母を過小評価していたことに気付いた。
修練の道に踏み入れてまだ一ヶ月も経っていない人が、今の境地に到達できるとは?
葉辰が疑問に思っているとき、輪廻墓地の段雷仁の声が響いた。
「弟子よ、お前の母は完全に覚醒したようだな。何かがお前の母を打ちのめし、絶望の中で血脉を覚醒させたのだろう」
「最も不可思議なのは、お前の母の体内の血脉が並大抵のものではないということだ!」
「お前の父である葉天正も、お前の母の身に秘められた秘密も、お前にはまだ触れる資格がない。しかし、二人の持つ天賦と秘密があったからこそ、お前が生まれ、輪廻墓地がお前を選んだのも理由がないわけではない」
葉辰は修練室を深く見つめたが、邪魔をすることはせず、代わりに自分が出発することを皆に伝えた。
孫怡と朱雅は最初、葉辰と共に崑崙虚に入ろうとしたが、最終的には夏若雪の説得で諦めた。
彼女たちは自分たちの実力をよく理解していた。今崑崙虚に入っても葉辰の足手まといになるだけだった。
それに、葉辰は一ヶ月で必ず戻ってくると約束した。
彼女たちはこれを葉辰の一ヶ月の海外旅行だと思うしかなかった。
その後、葉辰は葉家でもう一日過ごした。
この一日、彼は何もせず、ただ家族と共に過ごした。
……
翌日、崑崙山国際空港。
三つの人影が飛行機を降り、四輪駆動車で崑崙山の奥深くへと向かった。
この三人とは葉辰、血風華、そして沈石溪だった。
血風華は変装していた。血盟にとって、彼はすでに死人のはずだからだ。
もし生きて戻れば、多くの事が説明できなくなる。