なんと!
一本のタバコで白展元の法器に対抗しようというのか?
白展元とその部下たちは、表情が呆然としていた。
むしろ可笑しいとさえ感じた。
彼らは葉辰の手にあるタバコに霊気が全くないことを知っていた。
ある意味では、全く殺傷力がないのだ!
こんなものでどうやって法器を破るというのか?
白展元の顔が歪んだ。
丸5年間、誰一人として彼をこれほど軽視し、このような傲慢な態度を取る者はいなかった。
かつて彼が陣盟から奪った至宝こそが、手中の扇子だ!
この扇は陣古扇と呼ばれ、上古の陣石で作られたものだ。
その中には無上の陣法の道が秘められている。
価値は計り知れない。
価値はさておき、陣古扇で陣を結べば、陣法の強度は十倍、あるいは百倍にも上がる。
殺陣を結べば、姿なき殺人も可能だ。
この数年間、彼は陣古扇を阻止できる存在に出会ったことがない!
しかも、彼の脳裏には無数の殺陣が刻まれているのだ!
崑崙虚第一の天才陣法師として、若い世代では誰も彼に太刀打ちできない。
この陣古扇を加えれば、誰が彼を阻む資格があろうか!
紀霖も葉辰の傲慢さを感じ取り、老血を吐きそうになった。
葉辰がどこで陣法を学んだかは知らないが、白展元の前で傲慢になる資格はないはずだ!
タバコで法器に対抗するなど、おそらく華夏と崑崙虚全体で、葉辰だけがそんなことをする勇気があるだろう。
しかしそうすることの結果は明らかで、それは自殺行為だ!
「葉辰、白展元の扇子には何か異常がある、必ず気をつけろ!かつて白展元もこれが原因で各大宗門に追われたのだ!」
「聞くところによると、当時彼はこれを使って千人近くを殺したという!」
「そうだ、葉辰、お前は崑崙虚に入って葉弑天の威名を聞いただろう、この男は、ある意味で葉弑天と同じくらい危険なんだ!」
紀霖は葉辰に理解させようと、葉弑天を例に挙げた。
葉辰は葉弑天という三文字を聞いて、口元に笑みを浮かべ、興味深そうに尋ねた。「じゃあ、この白斬鶏とあなたの言う葉弑天が戦ったら、誰が勝つと思う?」
紀霖は一瞬固まり、表情が奇妙になった。
そんな比較ができるわけがない!
二人は戦ったことがないし、戦うはずもない!