この言葉が出た途端、動揺していた二人の女性は顔色を失った。
「それならば、葉先生、行きましょう。これ以上遅れると手遅れになります」
杜雲煙が急かした。
彼女から見れば、葉辰の身分なら、こういった事で冗談を言うはずがなく、上で何か起きているに違いない。
「ああ」
葉辰は両手を背中で組み、軽やかな足取りで立ち去ろうとした。
一つの黒い影が飛んできた!
「この畜生め、何のつもりだ、死体だと?てめえの母ちゃんが死体だ!」
言葉が落ちるや否や、葉辰の瞳から冷たい殺気が閃いた。
彼はこの二人に手を出すのも面倒だと思い、ただ急いでいただけなのに、この二人はどうしても銃口に突っ込んでくるとは!
まさに死を求めているようなものだ!
黒い影が突然止まった。
葉辰は手を動かすことすらせず、一歩踏み出すと、目に見えない気の波が風の刃となって、攻撃してきた男に向かって直接飛んでいった。
相手の体は石のように固まった。
瞳孔は極度の恐怖に満ちていた。
極めて不気味だった。
「行こう」
葉辰はもう時間を無駄にする気はなく、足早に山を下りていった。
杜雲煙と陳霞は好奇心から目の前で動かない男を一瞥したが、不思議に思いながらも深く考えず、急いで後を追った。
三人が去った後、もう一人の男が慌てて駆け寄った。「少爺、これは...」
言葉が終わらないうちに、一つの頭部が地面に落ちた。
血まみれの体が男の腕の中に倒れ込んだ。
その後、恐怖の叫び声が崑崙山全体に響き渡った。
……
K2578便。
杜雲煙と陳霞は一人の男の冷たさを身に染みて感じていた。
二人は意図的に葉辰との話題を探そうとしたが、葉辰の返事は五文字を超えることはなかった。
極めて冷淡だった。
仕方なく、二人も葉辰との会話を諦めた。
「雲煙、彼は学校の教授だって言ってたじゃない。なんか自閉症みたいね。話もしないし、あの二人と日の出を見に行った方がまだましだったわ」と陳霞は不満げに言った。
杜雲煙はすぐに陳霞の口を押さえ、小声で言った。「そんなことを言っちゃダメよ。葉先生は特別な身分なの。もういいわ、説明しても分からないでしょうから」