「今回彼があなたを救ったのは、苦労して練習した結果です。もし全く知らない人を探すために時間を費やすなら、それは無駄な努力になるでしょう。」
「分かりました。」紀霖は仕方なく同意し、心の中で少し落胆した。
葉辰は崑崙虚では強くはなかったが、彼と一緒に行けば、一人増えれば希望も増える。道中で話し相手もいるだろう。
その時、華夏の崑崙山では。
葉辰は崑崙虚から出てきて、外界の霊気の急激な欠乏を感じ、少し不慣れな感じがした。
彼は輪廻墓地から携帯を取り出し、電源を入れると、無数のメッセージとWeChatの通知を受け取った。
夏若雪、孫怡、朱雅、魏穎、百里氷、さらには天正グループの沈海華からも多くのメッセージが届いていた。
彼は数回目を通しただけで、返信はしなかった。
母親と他の人たちは京城の葉家にいるはずだ。ちょうど今日、彼女たちにサプライズを与えよう。
あの方が葉家を守ると言ったのだから、彼は深く信じていた。
それ以上考えることなく、葉辰は崑崙山国際空港へと向かった。
周りは人気がなく、移動手段もないため、歩くしかなかったが、葉辰は超凡境に達していたため、歩いても速度は極めて速かった。
葉辰が空港まであと三千メートルというところで、登山隊が彼の視界に入ってきた。
隊は合計六人だった。
女性が二人、男性が四人で、全員若かった。
ただし、顔は風塵にまみれ、むしろ狼狽していると言えるほどだった。
この場所は標高が高すぎて、一般の人が上ってくるにはかなりの労力が必要だ。
その中の一人の少女は登山服を着て、瞳は水のように澄んでいた。長い脚は登山パンツでも隠しきれず、大きな波のような髪を高く結び上げ、汗が顔に浮かび、頬は紅潮していた。この数人の中でだけでなく、華夏でも一級の美女と言えるだろう。
葉辰の注意を引いたのは、まさにこの女性だった。
その容姿のためではなく、葉辰が知っている人物だったからだ。
杜雲煙。
京城師範大学の学生だ。
葉辰が初めて飛行機で江南省から京城に来た時、杜雲煙と彼女の母親に出会い、偶然にも杜雲煙の母親を救うことになった。
二人は彼を師範大学近くの別荘に一晩泊まるよう誘ったが、杜雲煙の父親に追い出されてしまった。
その後、師範大学で何度か会った。
それ以降は、彼女の消息を聞くことはなかった。