葉辰は孫怡の体を抱きしめ、話そうとした矢先、咳払いの音が聞こえた。
江姵蓉が自ら料理を持って出てきたが、母は一瞥しただけで、また台所へと向かい、見なかったふりをした。
孫怡は慌てて葉辰から飛び降り、可愛らしく怒って言った:「全部あなたのせいよ!」
葉辰は鼻を擦りながら、リビングを見て、興味深そうに尋ねた:「若雪は一緒に帰って来なかったの?」
孫怡は急いで説明した:「若雪があなたが帰ってきたことを知っていたら、きっと戻ってきたはずよ。でも今、彼女は華夏にいないの。」
「最近、天正グループは国際市場を開拓していて、米国で問題が発生し、責任者が交渉に行く必要があったの。若雪は今朝飛行機で出発したわ。帰ってくるのは、向こうの問題が解決してからになるでしょうね。」
今や天正グループは葉辰にとって、大きな価値はなくなっていた。
唯一の利点は、葉辰が華夏で何かを探すために多額の資金を使えることだった。
崑崙虚も華夏の一部であり、上古時代、華夏も戦場の一つだった。
もし本当に上古の遺跡を探すのなら、それも可能だろう。
今日、京城に向かう飛行機の中で、機内誌を何度か見たところ、天正グループは世界時価総額トップ10の企業になっていることがわかった。
ただし、天正グループは非上場で、様々なデータが公開されていないため、統計を取る人々は正確な順位付けができなかった。
もし本当に公開されれば、天正グループは間違いなく時価総額第1位の企業となるだろう。
夏若雪がここまで頑張る必要はなかった。明らかに、彼女は天正グループを自分の子供のように思っていた。結局のところ、ここまでの道のりには彼女の影響が色濃く残っているのだから。
葉辰は国際電話をかけて夏若雪の意向を確認した。
夏若雪は非常に興奮していたものの、数秒躊躇した後、天正グループのグローバル化が完了してから崑崙虚に行くことを決めた。
葉辰も説得しようとはしなかった。
夏若雪は今や修練の道に入っており、十分に身を守ることができる。
たとえ本当に危険に遭遇しても、暗殿と華夏の守護があるため、
大きな問題は起こりそうにない。
おそらく天正グループのグローバル化もそう長くはかからないだろう。その時は沈海華に任せればいい。
崑崙虚で師匠の件を処理し終えたら、夏若雪を青玄峰に連れて行こう。