第745章 勢いを借りる! (1更)

玄は当然、葉辰の身から爆発するような強い自信を感じ取っていた。

まるで目の前の青年が殺戮の地で全てを掌握できるかのようだった。

しかし、洪涛はどう言っても聖級の錬丹師であり、葉辰が口にした林青玄なんて存在しないのだ。

上古時代に頂点に立った人物と殺戮の地のトップクラスの丹師を比較するなんて、比べるまでもないだろう?

「葉先生、あなたがご存知ないかもしれませんが、林先祖は確かに医道に通じていましたが、時の流れとともに、彼の術法や錬丹術のほとんどは失われてしまいました。医神門や青玄峰の者たちは洪涛に敵わないのです。たとえ青玄峰の老祖が直々に殺戮の地に来たとしても、錬丹術で洪涛に勝つのは難しいでしょう……」

「葉先生、私が最速で青玄峰に駆けつけてみましょうか?老祖に秘法を使ってもらえば、まだチャンスがあるかもしれません」

葉辰はこの言葉を聞くと、冷たく笑った。「玄よ、何もすることがなければ影に隠れていろ。明後日の朝にまた会おう」

そう言うと、葉辰はホテルへと向かった。

玄はまだ何か言いたそうだったが、言葉は口元まで来て飲み込んでしまった。

なぜこの葉先生は忠告を聞かないのだろう!

これは生死に関わる大事なことなのに!

葉辰はホテルの玄関に着き、入ろうとしたとき、入口の横の掲示板に張られた手配書を見つけた。

手配書に写っている男は温立峰だった。

幸い、温立峰の二人の娘は載っていなかった。

葉辰はもう一度万水閣に行ってみると、万水閣とその向かいの建物が強者たちに包囲されていた。

入口を守る数人の目は冷たく、全身に殺気を漂わせていた。

それだけでなく、殺戮の地の勢力の大部分が絨毯爆撃のように捜索を始めていた。

どうやら温立峰が先に離れたのは正解だったようだ。そうでなければ、これらの者たちが気づいた後では、逃げることも不可能だっただろう。

殺戮の地全体の雰囲気は極めて緊張感と殺気に満ちていた。

葉辰がホテルに戻ると、温詩詩と温婷婷は葉辰を見るなり、すぐに頭を下げた。「葉先生」

温詩詩の頬は赤く、昨夜のシーンを思い出すと、穴があったら入りたいほどだった。

ただ、葉先生が何か余計なことを考えているかどうかはわからなかった。