虎の尻は触れてはならない、ましてや狂煞黒虎の王などは!しかし、この葉弑天は本当にそれをやってのけた!
皆は葉弑天がその場で巨大な口に飲み込まれると思ったが、何も起こらなかった。
それどころか、その狂煞黒虎は非常に満足げで、さらに巨大な頭で葉弑天に擦り寄せた!
まるで機嫌を取っているかのように?
「しっ!」
その場にいた全員が思わず冷たい息を吸い込んだ!
誰が想像できただろうか、殺戮の地で名高い凶暴な獣が葉弑天の前では猫のように大人しくなるとは!
これはあまりにも衝撃的な光景だった。
「私は目が眩んでいるのかな、あれはまだ狂煞黒虎なのか?狂煞黒虎は修錬者しか食べないんじゃなかったのか?」
ある者が震える声で言った。
「目が眩んでいるわけじゃない、葉弑天は一頭の狂煞黒虎だけでなく、千頭以上を支配しているんだ……」
「この葉弑天は一体どんな来歴なんだ!武道!丹道!医道!今度はどうして獣を調教することまで出てくるんだ?」
「もしかしてこの葉弑天は上古家族の子孫なのか?」
「上古家族でもこんな天に逆らうような人物は育てられないと思うがな!」
この瞬間、見物人たちが葉弑天を見る目には恐れしか残っていなかった!
まるで神に対する畏怖のように!
葉辰はここにこれ以上留まるべきではないことを深く理解し、一歩で黒虎の王の背に跨り、同時に意念を動かすと、もう一頭の雄々しい体格の狂煞黒虎が段怀安の側にやってきた。
四肢をついて、臣従した!
「師匠、乗ってください、血路を開きます!」葉辰は急かした。
段怀安は目の前の光景を見て、頭が真っ白になった。
彼は葉辰を見て、本当に信じられない思いだった!
彼はさえ目の前の人物が葉弑天なのか誰なのか疑問に思った!
葉辰がどうしてたった一年の間にこのような成果を達成できたのか?
彼が行ったのは華夏だぞ!
霊気の薄い地!
それ以上考えず、彼は一歩で狂煞黒虎の背に跨り、両手で狂煞黒虎の首の長い毛を掴み、体を密着させた。
今は、離れることが重要だ。
「行け!」
葉辰の一声の命令で、二頭の恐ろしい気勢を持つ巨大な虎が外へ向かった!
同時に、千頭以上の狂煞黒虎が睨みを利かせていた!
誰かが動こうものなら、すぐに手を出す!
誰が想像できただろうか、葉弑天が殺戮の地の軍主の追撃の下、悠々と立ち去るとは!