069「とても楽しい」_2

“均流島のス族の人々は、すでに多くのものを忘れてしまっています。今の勢いで行けば、彼ら自身を忘れてしまうのも遠くはありません。”

“それは多分彼らがここに属していないからでしょう、漂流してこの地に辿り着いたのも単なる偶然だった。だが、その偶然に私は感謝しています。それがなければ、私は愛する人と出会う機会はなかったでしょう。”

彼はすぐに語った。もしマシューが興味があって、能力があるなら、何の問題もなくそれらの木を移植しても良い。

村の長老たちは決して妨げることはないだろう。

許可が出ると、マシューは喜んだが、彼はすぐにパールの様子を尋ねた。

彼は過去2日間、時折老婆婆のもとを訪れたが、得た結論は決して明るいものではなかった。彼女はいつこの人生を終えてもおかしくない状態に見えた。

しかしながら、オーエゲンの態度は非常に積極的だった。

彼は笑いながら言った。

“彼女はここ数日間、精神が良く、私の予測では、少なくとも元灯節がくるまでは、この状態を保つと思います。”

マシューはオーエゲンの笑いから、何か他の意味を感じ取った。

そこで彼は静かにオーエゲンの背中を叩いた。

そして、魔法の勉強をするために部屋に戻った。

……

2日後。

予定通り元灯節が訪れた。

この日、均流島に住む人々の石の家の前には、すべて赤い提灯が掛けられ、祝祭の雰囲気が少し増した。

マシューは気づいた。彼が最初にこの場所に来た日に出会った、人と関わるのを避けている老人も、自分の家の前に提灯を吊るしている。

彼はその人に挨拶をしに行った。さらに驚いたことに、その人は返事をしてくれたばかりか、わずかに笑顔を浮かべていた。

知っての通り、マシューはここで過ごした日々の間、全ての村の老人たちと挨拶を交わした。村人の中でも珍しい若者である彼に対し、老人たちは皆親切だったが、その中でも一人だけが無視していた。

マシューは一時、その老人が精神疾患を抱えているのか、もしくは意思疎通ができないのかと思っていた。しかしかれが今日返事をくれるなんて思わなかった。

彼はすぐさまその老人と話し始めた。それどころか、老人の反応は以前よりも激しかった。