第267章 1古塔

秦玉は長い間黙っていた。傍らの江古はなおさら何も言えなかった。

しばらくして、秦玉はゆっくりとため息をついた。

「秦さん、あなた...一体どうしたんですか?」江古はついに我慢できなくなった。

秦玉は首を振り、笑って言った。「何でもない。」

彼は軽く拳を握りしめた。やはり、大宗師の境界が戻ってきていた。

本来ならこの老祖の力を借りたくなかったのに、向こうが厚かましくも差し出してきた。

仕方がない、「やむを得ず」地殺谷の力を借りて、地殺谷を倒すしかない。

楚州から南西雲州までは遠く、途中で飛行機は空港に立ち寄った。

立ち寄った後、数人が飛行機に乗り込んできた。

元々秦玉の隣は空席だったが、この停留後、一人の少女が飛行機に乗ってきた。

その少女は二十歳ほどで、かわいらしい服装をしていた。

彼女の隣には若者が付き添っており、若者は引き締まった服装で、その気配は並々ならぬものだった。

秦玉がよく見ると、この若者は内勁大師頂点の境界にいることがわかった。

これには秦玉も少々驚いた。

「飛行機で内勁大師に出会うとは思わなかった...」秦玉は顎に手を当て、心の中で呟いた。

そのとき、少女がバッグから大量のお菓子を取り出し、丁寧に秦玉にも一袋差し出した。

秦玉は手を振って言った。「結構です。」

少女はお菓子を脇に置き、笑顔で言った。「あなたも雲州に行くんですか?」

秦玉は雑談する気分ではなかったので、ただ頷くだけだった。

しかし少女は非常に親しげで、自分から話し始めた。「私は唐霊、あれは私の友達の程才です。」

秦玉は頷いただけで何も言わず、軽く目を閉じた。

このとき、程才は眉をひそめて言った。「あなた、なんて無礼な人なんだ。」

「あら、気にしないで。」唐霊は慌てて手を振った。

その後、唐霊は飛行機の座席でそっとお菓子を食べ始めた。

一方の程才は、視線を江古に向けていた。

彼は江古をしばらく見つめた後、前に身を乗り出して小声で言った。「すみません、あなたは武者ですか?」

江古は彼を一瞥したが、何も言わなかった。

程才も怒る様子はなく、少し興奮した様子で言った。「あなたの気配からすると、少なくとも宗師クラスですよね?」

江古は眉をひそめて言った。「用件は?」