振り向くと、遅封の横に秦玉が立っているのが見えた!
彼の身から発する気配は極めて穏やかに見えたが、人を威圧するような凄まじい気配を帯びており、直視することすらできなかった!
「お前...まさか天劫を乗り越えたのか?」遅封の顔色が一気に険しくなった!
彼は素早く身を振りほどき、急いで数歩後退した!
「秦さん!」姚青は興奮して大声で叫んだ!
全身に重傷を負っていたにもかかわらず、秦玉の前まで駆け寄った。
秦玉は表情を変えず、軽く頷いて言った:「古大師の面倒を見てやってくれ。」
「はい!秦さん、お気をつけください!」姚青は言った。
秦玉は何も言わなかったが、その人柄が一瞬にして大きく変わったかのようだった!
その後、秦玉は遅封を見つめ、言い表せないほど冷静な表情を浮かべていた。
その瞳には、一片の感情の揺らぎも見られなかった。
まるで蟻を見下ろすかのような感覚だった!
「秦玉...」
その時、地面に横たわっている古太初が突然苦しそうに声を発した。
「お前は...死んではならない...」古太初は苦しそうに言った。
秦玉は笑って言った:「古大師、ご安心ください。私は死にませんよ。」
言い終わると、秦玉は遅封を見つめ、手で招くしぐさをした。
この行動は、明らかに遅封の怒りを煽った!
彼は秦玉を睨みつけ、叱責した:「お前が突破したところで何だというのだ!所詮は宗師に入ったばかりの役立たずだ!俺は堂々たる八品大宗師なのだぞ!」
両者の実力差は、確かに極めて大きかった。
しかし不思議なことに、秦玉の心の中には突如として奇妙な感覚が湧き上がっていた。
まるで...目の前の遅封など取るに足らず、手で簡単に握り潰せるかのような感覚だった。
「無駄話は不要だ、始めよう。」秦玉は両手を後ろに組み、威圧的な態度を示した。
遅封は歯を食いしばり、怒りを込めて言った:「よかろう、そうまで言うなら、お前を殺してやる!」
言い終わるや否や、遅封は再び拳を握りしめて襲いかかってきた!
恐ろしい気勢が、波のように秦玉に押し寄せてきた!
秦玉は冷たい眼差しを向け、拳を上げて応戦した!
「轟!」
これは前代未聞の衝突で、空全体が轟音を響かせた!
この巨大な力を感じた遅封の顔色が急変した!