その人は他でもない、かつての楚州中医協会の羅成!周通の弟子だった!
目の前の羅成は、表情が幾分険しくなり、全体的に痩せ細り、人間らしさすら失っているように見えた。
秦玉は眉をひそめて言った。「羅成、どうしてこんな姿になってしまったんだ?お前...何か邪術でも使ったのか?」
羅成は険しい表情で言った。「全てはお前のせいだ...」
「私のせい?」秦玉は眉をひそめた。
「私はお前に何もしていないはずだが?」
羅成は怒りを込めて言った。「何もしていない?お前のせいで、私が誇りにしていた自尊心が完全に粉々になった!私の夢も崩れ去ったんだ!」
「もしお前がいなければ、私は必ず中医協会の会長になって、万人から敬われていたはずだ!」
「だがお前の出現で、私の全てが壊されたんだ!」
秦玉は首を振って言った。「羅成、お前の自尊心は脆すぎるんじゃないか。なんだ、私にただ負けただけで、自尊心が傷ついたというのか?」
「お前には分からない」羅成は冷たく言った。
「幼い頃から褒められ続けて育った人間の心境が、どういうものかお前には理解できない」
秦玉は羅成を見つめ、冷たい声で言った。「羅成、問題はお前の考え方だ。お前の欲望が、野心に見合っていないんだ」
「余計な話はいい!」羅成は冷たく言った。
「私は今や韓家の人間だ!お前に私のことをとやかく言う資格はない!」
秦玉はもう何も言わなかった。
羅成の成り行きについて、秦玉はやはり意外に思っていた。
かつて秦玉は羅成に期待していたのだが、まさか彼が道を踏み外すとは思わなかった。
羅成の状態から見て、彼は必ず何らかの邪術を修めたに違いない。それが今の人とも鬼ともつかない姿になった原因だろう。
「閣主様がお見えになりました!」
そのとき、外から大きな声が聞こえた。
すると閣主が多くの執法長老に伴われて、ゆっくりと入ってきた。
「薬神閣閣主様にご挨拶申し上げます」羅成は閣主に軽く頭を下げた。
閣主は軽く頷いただけで、羅成の姿にそれほど驚いた様子はなかった。
閣主が到着すると、この度の競選が正式に始まることが宣言された。
二つの薬鼎が中央に置かれ、希少な薬材が二人の自由に使えるように用意された。
羅成は不気味な目つきで秦玉を一瞥し、冷笑して言った。「秦玉、半年ぶりだが、私はもう昔の羅成ではない」