第550章 甄月の献身

王雄は冷たい目で秦玉を見つめ、体から気勁が溢れ出し、大きな足取りで近づいてきた。

上方では。

甄月たちの表情は極めて険しかった。

「甄門主、王雄がまだ上がってこないうちに、早く逃げましょう」側にいた者が諫めた。

「そうですよ、王雄が上がってきたら、もう遅すぎます!」

甄月は歯を食いしばり、重々しく言った。「私は逃げられない、碧落楼を見捨てるわけにはいかないわ」

「門主!あなたが残っても無駄です。あの王雄は半歩武侯ですよ。彼の背後には聖儒門という後ろ盾もあります!」

「そうです!ここで死を待つくらいなら、一時的に退いて、後日また機会を探した方がいい!」

甄月は表情を歪め、歯を食いしばりながら、悔しそうに言った。「おそらく...そうするしかないわね」

しかし、その時、水面から突然大きな爆発音が響いた!

水中から巨大な波が立ち上り、その後、数人の人影が砲弾のように飛ばされるのが見えた!

見れば、それは他でもない、王雄たちだった!

この時、王雄は口から血を流し、腕は折れ、惨めな姿になっていた。

「これは...どういう状況?」甄月は目を丸くした。

王雄は何も言わず、急いで地面から立ち上がり、湖を凝視した。

間もなく、金色の光が輝いた。

秦玉がゆっくりと湖から歩み出てくるのが見えた。

「あなた!?」目の前の秦玉を見て、甄月は一瞬固まった。

秦玉は甄月を一瞥し、その後王雄を指さして言った。「こいつはあなたたちの碧落楼の人間なのか?何なんだ、二言目には私と戦おうとして...」

そう言いながら、秦玉は呟いた。「私は自衛のための反撃をせざるを得なかったんだ。甄門主、どうか責めないでくれ」

甄月はそれを聞いて、思わず唾を飲み込んだ。

王雄が...この秦玉に吹き飛ばされたというのか?!

王雄は半歩武侯だというのに!

「貴方、どなたであろうと、我々は聖儒門の命令を受け、この湖を守護しに来たのです。余計な口出しはご遠慮願います」王雄の側にいた者が冷たく言った。

秦玉は目を細め、冷笑して言った。「なるほど、お前たちは聖儒門の人間か...聖儒門もここに目をつけていたとはな、厄介だ...」

「聖儒門をご存知なら、どうか速やかにお引き取りください。我が聖儒門は必ずや恩を返させていただきます!」その者は続けて言った。