第641章 秦玉、現る!

夏航が待っていたのは、まさにこの罠にはめる時だった!

秦玉さえ死ねば、もう心配することはなく、京都武道協会からの褒賞まで手に入れられる!

「この世に私を脅かせる者などいない」夏航は暗闇に身を潜めながら、冷たく言った。

....

秦玉はここを離れ、ホテルに戻った。

手の中の黒袍を撫でながら、冷たく言った。「明日、奴らを皆殺しにしてやる」

この学院も、破壊してやる!

だが、この時の秦玉は知らなかった。京都武道協会がすでに天羅地網を張り巡らせていたことを。

翌日。

京都武道学院の周辺は静寂に包まれていた。

武道は元々マイナーな分野で、参加者も極めて少ない。そのため、この学院の設立場所も比較的人里離れていた。

見渡す限り、人影一つ見えない。

周囲は荘厳な高山か、果てしない密林のいずれかだった。

この時、黒金袍を着た八人の男が、学院の陰に潜んでいた。

彼らは高所に立ち、冷たい目で学院の入り口を見つめていた。

「全ての準備は整ったか」夏航は冷たく尋ねた。

「ああ、ここにはすでに天羅地網を張り巡らせてある。奴が来れば、必ず逃げられない」

「我々八人で法器を使えば、この周辺は完全に封鎖される。翼が生えても逃げられまい」

夏航は彼らを一瞥し、冷たく言った。「必ず最初の一撃で仕留めろ。奴に息つく暇を与えるな!」

「安心しろ。殺せるなら、生け捕りなどしない」誰かが冷たく言った。

夏航はタバコに火をつけ、深く一服した。

彼の指が微かに震え、緊張している様子だった。

夏航にとって、これは選択だった。

京都武道協会と秦玉の間で、夏航は京都武道協会を選んだ。

当初は両方に取り入るつもりだった夏航だが、考えを改めた。

理由は単純で、秦玉が危険すぎたからだ。

強者に対して少しの畏敬の念も持たない。そんな傲慢な者は、たいてい途中で命を落とす。

「後は任せた」夏航は冷たく言った。

「どうした、お前は出ないのか?」傍らの者が尋ねた。

夏航は自嘲気味に言った。「私の実力では、何の役にも立たない」

「良い知らせを待っている」

そう言い残すと、夏航は踵を返して去った。

時は流れた。

学院の周辺は相変わらず静かだった。

秦玉の姿は、一向に現れなかった。

彼らは朝から夕方まで待ったが、秦玉は姿を見せなかった。

これは彼らに疑問を抱かせた。