第640章 ついに罠にかかった!

秦玉はもちろん知っていた。今回の事件は影響が大きすぎるからだ。

最も重要なのは、一般人が巻き込まれていることだ。

「閣主様、私には...他に方法がありませんでした」と秦玉は重々しく言った。

閣主は溜息をつきながら言った。「時には焦りすぎないことだ。お前は十分よくやっている。一時のことにこだわる必要はない」

その言葉を聞いて、秦玉は急に顔を上げた。

彼は歯を食いしばって言った。「閣主様、あなたは若雪が京都武道協会で何を経験したのかご存じないのです!あの畜生どもは、彼女の血を絶え間なく吸い続けているんです!」

「今や彼らは顔若雪を自分たちの武道の資源として扱い、何かの超級強者を作り出すために使っているんです!顔若雪の血脈を、次々と他人の体に移し替えているんです!」

「我慢できません!目を閉じれば、彼女の苦しむ表情が浮かんできて、絶え間なく私を苦しめるんです!」

「奴らを皆殺しにしてやる、皆殺しだ!」

秦玉は感情が高ぶり、両目は真っ赤になっていた。閣主でさえ、その様子を見て心が震えた。

「秦玉、お前...まずは落ち着くんだ」閣主は秦玉の肩を叩いた。

秦玉は深く息を吸い、できるだけ自分の感情を落ち着かせようとした。

「閣主様、申し訳ありません。取り乱してしまいました」と秦玉は小声で言った。

閣主は首を振り、その話題を続けずに疑問を投げかけた。「なぜオークションを襲撃したのだ?それがお前にどんな利益をもたらすというのだ?」

秦玉は口を開きかけ、男の死体のことを閣主に話そうとした。

しかし考えた末、結局話すのを止めた。

「とにかく私には必要なのです」と秦玉は言った。

閣主はその様子を見て、それ以上追及するのを止めた。

「秦玉、気をつけろよ。もし捕まったら...」閣主は言葉を続けなかったが、その意図は明らかだった。

秦玉は頷いて言った。「ご心配なく、気をつけます」

「当分の間はここに滞在して、様子を見るがいい」と閣主は言った。

秦玉は断らず、頷いて承諾した。

その日の夜、秦玉はこの密室に泊まることになった。

秦玉が薬神閣にいることは誰も知らなかった。薬神閣の薬師たちでさえ、このことについては何も知らなかった。

翌日。

秦玉は空間神器からオークションで奪った品々を取り出した。