第611章 黒金球の力!

屠仙教内は一面荒廃した景色が広がっていた。

その屠仙教の大殿の中には、一人の青年が座っており、その前には数え切れないほどの内丹が並べられていた。

次々と内丹を吸収していくにつれ、秦玉は一品武侯から二品へと踏み出すことに成功した。

彼はゆっくりと目を開け、思わずため息をつきながら言った。「ここでは時間の流れすら感じられない。」

俗世は素晴らしく、修行は退屈なものだ。

彼は目の前にそびえ立つ大門を見つめ、外の生活に憧れを感じ始めていた。

「内丹はまだ一万個近く残っている。まずはこれらの内丹を吸収し終えてからにしよう。」秦玉は仕方なく首を振り、修行を続けるしかなかった。

碧月山荘内では、常莽たちはすでに碧月山荘の一員となっていた。

常莽は聖体として、その実力は言うまでもなく、若い世代の中で彼に勝てる者は少なかった。

今や秦玉がいない中、常莽は知らず知らずのうちに碧月山荘の中心的存在となっていた。

「甄門主、ご安心ください。この碧月山荘を必ず輝かしいものにしてみせます!」常莽は自信に満ちた様子で言った。

甄月は口を開きかけたが、結局ため息をつくだけで「わかりました。」と言った。

しかし、この時、陰で悪だくみをしている者がいた。

その人物こそ鄧聖、聖儒門の元長老だった!

秦玉の死を聞いて以来、鄧聖は機会を探り続け、聖儒門を再興しようとしていた!

しかし慎重な性格の鄧聖はすぐには動かなかった。秦玉が生きていた場合、命を落とすことを恐れていたからだ。

今や十数日が経過し、秦玉はまだ姿を現していない。

鄧聖がチャンスが来たと思った時、また新たに常莽が現れた!

「何としてでもこの常莽を離れさせなければならない。」鄧聖は陰険に言った。

常莽さえいなくなれば、鄧聖には聖儒門を取り戻す方法があった!

その時が来れば、自分が聖儒門の門主となれる!

機会があれば、各世家の賞賛を得て、かつての谷滄海の地位さえ奪えるかもしれない!

「甄門主、常さん、外に秦さんの旧友を名乗る方が面会を求めています。」そのとき、突然誰かが入ってきて言った。

「秦さんの旧友?」二人は顔を見合わせ、そして言った。「早く通してください!」

「はい。」

数分後、黒袍を身にまとい、全身に陰気を漂わせた男が入ってきた。