八字髭の貪欲そうな表情を見て、秦玉も一瞬心が動いた。
屠仙教が当時の第一宗門だったと言う人は一人や二人ではない。もしここで機縁を得られれば、人生を変えられることは間違いない。
「じゃあ、早く出発しましょう。時間を無駄にしないように」外界を気にかけている秦玉は急かした。
八字髭は白目を向けて言った。「何を急ぐんだ。準備が必要だ。ここは屠仙教だぞ。触れてはいけないものに触れたら、ここで命を落とすことになる」
そう言うと、八字髭はポケットから次々と法器を取り出した。
これらの法器は非常に奇妙で、杵や鉢、そして密集した文字符号などがあった。
秦玉は興味を持って尋ねた。「これは何ですか?」
八字髭は答えた。「西洋仏教から手に入れたものだ。最も純粋な信仰の力が宿っていて、身を守るのに使える」
秦玉は頷いて、それ以上質問はしなかった。
今の彼は体が疲れていたので、この機会に十分休息を取ることにした。
...
外界。
秦玉の死について、彼らはすでに慣れてきたようだった。
まだ希望を持っている者はごくわずかだった。結局のところ、秦玉は丸一ヶ月も姿を見せていなかったのだから。
碧月山荘内。
白髪の青年が霊泉のそばに座り、霊泉からの霊気を吸収していた。
この青年は他でもない、姚青その人だった。
秦玉の死を知ってから、姚青のあの陽気な様子は完全に消え去り、代わりに現れたのは懸命に努力する青年の姿だった。
桃子は薬神閣に戻ることを選んだ。そもそも彼女が来たのは秦玉のためだった。
今や秦玉がいなくなり、彼女には未練がなくなっていた。
「誰の許可でここで修行してるんだ!」
そのとき、二人が近づいてきて、姚青を指さして怒鳴った。
姚青は目を開け、眉間に怒りの色が浮かんだが、最終的にはそれを抑えた。
その後、姚青は立ち上がり、霊泉から立ち去った。
大殿まで来ると、ある閨房に入った。
この部屋に住んでいたのは、甄月だった。
姚青は扉を開けて部屋に入った。
姚青を見て、甄月はゆっくりと立ち上がり、表情を曇らせて言った。「姚青...」
姚青は深く息を吸い、言った。「甄門主、私は碧月山荘を離れることにしました」
甄月の顔に一瞬の虚ろさが浮かび、眉をひそめて言った。「な...なぜ?」