その弩は非常に特別なものだった。
先ほど璩蠍の眉間に当たった光は、この弩から放たれたもののようだった。
「あれは法器のようだな」秦玉は目を細めて、小声で言った。
「何であろうと、太一と二壮がいる限り、私には何もできないだろう」秦玉は冷たく言った。
「なんとも賑やかだな」
そのとき、また新たな人物が戦いに加わった。
振り向くと、黒いミンクのコートを着た男が目に入った。
その男は体格が良く、顎髭を生やしており、非常に力強い印象を与えた。
「韓修?韓家の長男が直々に来たとは!」誰かが驚きの声を上げた!
その名前を聞いて、秦玉も眉をひそめた。
韓修?韓蒙の兄?彼までもが関わってきたのか?
二人の武侯頂点、これはほぼ秦玉が今まで遭遇した中で最も強大な力だった。
秦玉は深く息を吸い込んだ。
もはやこれは一人の問題ではなくなっていた。
秦玉の突然の出現により、道論図書館の全員が巻き込まれることになった。
この敖斬は情報を封鎖する目的で、全員を殺そうとしているのだ!
秦玉は周囲を見渡し、周りの空間が既に敖斬によって秘法で封鎖されていることに気付いた。
その場にいた人々が逃げ出そうとしたが、バリアに阻まれて戻されてしまった。
敖斬は冷笑して言った:「無駄な努力はやめろ。この空間は既に封鎖されている。誰も逃げ出すことはできない」
「お前たちを殺すまでは、私自身でさえここから出られない」敖斬は自分の弩を弄びながら、淡々と言った。
この言葉を聞いて、その場にいた人々は慌てふためいた!
彼らは次々と秦玉に助けを求める目を向け、目の前の秦玉は彼らの救世主となっていた。
秦玉は眉をひそめ、何も言わずに即座に太一に拳を振り上げさせた!
巨大な拳が、瞬時に横のバリアに向かって打ち込まれた!
恐ろしい力が、一瞬のうちに解き放たれた!
この一撃の下、そのバリアには無数のひび割れが生じ、その後完全に粉砕された!
バリアが砕け散る音が鳴り響き、空間バリアは一瞬にして消失した!
「早く逃げろ!」秦玉は周りの人々を見渡しながら、冷たく言った。
その人々はもちろんこの機会を逃すはずもなく、必死に外へと逃げ出した。
敖斬はその様子を見て、眉をひそめた。
「なんという強大な力だ」敖斬の顔に、深刻な表情が浮かんだ。