この影を見て、秦玉の表情は一瞬にして冷たくなった。
来者は他でもない、呑天蟒が化けた小黒だった。
彼は秦玉の前に立ち、見下ろすように言った。「まだ逃げるつもりか?今度は誰がお前を助けに来られるというのだ?」
秦玉は目を細め、冷笑いながら言った。「この畜生め、前回のひと打ちで死ななかったとはな!」
呑天蟒は少しも怒る様子もなく、冷たく言った。「あの二つの死体がなければ、お前に何ができる?」
話している間に、呑天蟒の体からは強大な気息が迸り出した。
秦玉はこの大戦が避けられないことを悟り、油断することなく、即座に気息を極限まで調整した。
同時に、神竜の力が秦玉の眉間で閃き始めた。
眉間に赤い印が光り輝いていた。
「来い」秦玉が手を出そうとした時、その呑天蟒の顔に慌てた表情が浮かんだ!
彼は思わず二歩後退し、黒い瞳には恐怖の色が浮かんでいた。
呑天蟒のその様子を見て、秦玉は眉をひそめた。
これはどういうことだ?さっきまで威張り散らしていた呑天蟒が、今はこんな様子になっているとは?
秦玉は呑天蟒の目を見つめ、すぐに何かに気付いた。
呑天蟒の目は、ずっと秦玉の眉間にある神竜印記を見つめていた!
つまり、この神竜印記が呑天蟒を怯えさせているのだ!
「ほう、お前は妖獣だから、当然神竜を恐れるというわけか?」秦玉は何かを悟ったようだった。
話しながら、秦玉は呑天蟒に向かって一歩一歩近づいていった。
呑天蟒の顔には、さらに慌てた表情が浮かんでいた。
秦玉が近づくにつれ、彼の顔色は青ざめ、ついには尻もちをついてしまった!
「はっはっは!」秦玉はその様子を見て、思わず大笑いした。
「これがお前の実力か?神竜への恐れは骨と血脈に刻まれているようだな」秦玉は目を細めて言った。
呑天蟒は苦しそうに地面から立ち上がり、歯を食いしばって言った。「秦玉、調子に乗るなよ。神竜の力だろうが何だろうが関係ない!」
「そうか?」秦玉は冷笑を浮かべた。
「なら、かかってきて試してみろ!」秦玉は大声で叫んだ。
呑天蟒は体を震わせ、攻撃しようとしたが、体が言うことを聞かなかった。
「お前...覚えていろ!」呑天蟒は歯ぎしりしながら言った。
秦玉は冷たく言った。「消えろ!」
呑天蟒は歯を食いしばり、振り返って逃げ出した。