第724章 1つの無主秘境

その夜、八字髭は碧月山荘を離れ、陣台を設置する材料を探しに行くと言った。

一方、秦玉は碧月山荘で待機していた。

翌日、秦玉は小魚を連れて、碧月山荘の霊泉の近くへ向かった。

ここは、かつて聖儒門の拠点であり、今でも数名の武者が修行している場所だった。

「あれが霊泉だ」秦玉は指さした。

小魚は頷いて言った。「知っています。でも霊泉は私の修行には何の効果もありません」

秦玉は黙ったまま、空間神器から棺桶を取り出し、小魚の前に置いた。

「これで修行できる」秦玉は棺桶を指さした。

棺桶からは陰気が漂い出ていた。

その陰気は天地を覆うほどで、瞬く間に周囲の温度を下げた。

霊泉の近くで修行していた武者たちも、思わず身震いした。

「濃い陰気ですね」小魚は眉をひそめ、少し不快そうな様子を見せた。

秦玉は棺桶を指さして言った。「この棺桶で修行を試してみろ。耐えられるかどうか見てみよう」

小魚は頷き、棺桶の横に座り、棺桶の中から漂う陰気を吸収し始めた。

わずか五分で、小魚は激しく咳き込み始め、体中が震え出した。

「無理です」小魚は首を振った。

「この陰気は濃すぎて、私には耐えられません」

秦玉はその様子を見て、軽くため息をついた。

彼がずっと棺桶を小魚に渡さなかったのは、この陰気に耐えられないのではないかと心配していたからだ。

そのため、秦玉は特に小魚を霊泉の近くに連れてきて、霊泉の霊気で棺桶の陰気を中和しようと考えていた。

しかし、それでも小魚は耐えられなかった。

秦玉の少し残念そうな表情を見て、小魚は突然唇を噛んで言った。「もう一度試してみます」

そう言うと、小魚は再び目を閉じ、棺桶の陰気を吸収し続けた。

しばらくすると、小魚の体が再び震え始め、体が氷のように冷たくなった。

しかし今回、小魚は立ち上がらず、歯を食いしばって耐え続けた。

一分、二分、五分、そして三十分が経過し、小魚は徐々に棺桶の陰気に慣れてきたようだった。

彼女の体は震えなくなり、陰気は彼女の周りで小さな渦を形成し、猛烈な勢いで体内に流れ込んでいった。

これには秦玉も目を見開いた。

小魚の適応能力は、あまりにも恐ろしかった。

かつての秦玉でさえ、このようなことは全くできなかったのだ!しかも秦玉は心法を操っていたのに!