墓全体から陰風が吹き荒れ、秦玉にはわかっていた。この陰風は間違いなく小魚に向かって吹いているのだと!
秦玉は考える余裕もなく、小魚の手を引いて、くぼみに向かって足早に進んでいった。
小魚の手は極めて冷たく、まるで氷の塊を握っているかのようだった。
しばらく歩き続け、ようやく秦玉と小魚はそのくぼみにたどり着いた。
秦玉は指を弾いて霊火を灯し、照明とした。
この薄暗い光の下で、小魚は何か不気味な様子に見えた。
彼女の顔色は極めて蒼白で、瞳には虚ろな色が浮かんでいた。
「小魚?」秦玉は試すように呼びかけた。
小魚は我に返ったかのように、秦玉を一瞥して眉をひそめながら言った。「ここはどこ?なんだか変な感じがする...」
「変な感じ?具体的にどんな感じなんだ?」秦玉は急いで尋ねた。
しかし小魚は黙したまま、秦玉の問いかけには答えず、前方へと歩み出した。
彼女は壁に手のひらを当て、ゆっくりと探るように触れていった。まるで何かを探しているかのように。
数分後、小魚の手がある一点で突然止まった。
すると小魚の手から光が放たれ、一掌を壁に叩きつけた!
壁面は瞬時に崩れ落ち、瓦礫と化した!
その瓦礫の中に、小さな指輪が一つ横たわっていた。
その指輪は全体が碧緑色で、この暗闇の中で微かな不気味な光を放っていた。
小魚はその指輪を手に取り、低い声で言った。「この指輪が...私を呼んでいる。」
「呼んでいる?」秦玉は驚きを隠せなかった。
「でも何故か、この指輪は持ち去ってはいけない気がする。心の中で二つの声が...」小魚の声が突然震え始めた。
次の瞬間、彼女の顔に苦痛の色が走った。
「ああ...頭が痛い...」小魚は両手で髪をつかみ、顔には苦痛の色が満ちていた。
秦玉は急いで小魚を支え、焦りながら言った。「小魚、大丈夫か?」
小魚は秦玉の言葉に反応せず、頭を抱えたまま、耐え難い苦痛に襲われているようだった。
「ゴーン!」
その時、指輪が突然光を放った。
その光は小魚に向かって射出され、彼女の眉間を直撃した!
秦玉はその光の正体がわからなかったが、不測の事態を防ぐため、急いで手を伸ばして阻止しようとした。
しかしその光はあまりにも速く、一瞬のうちに小魚の眉間に吸収されてしまった。