第744章 薬材を手に入れた!

この人物は黒袍を身にまとい、身から不気味な気配を放っていた!

その黒袍の下に隠された顔は、他でもない、賀騰その人であった!

「秦玉...お前だけが情報を得られると思っているのか?」賀騰は不気味に言った。

秦玉は表情を曇らせ、深く息を吸って言った。「賀騰、お前は秘境に行ったはずだが、なぜここにいる?」

賀騰は軽く鼻を鳴らして言った。「この万年薬材のためなら、一つの秘境を諦めることなど大したことではない」

「無駄話はよせ、早く薬材を返せ!」唐末は大声で叫んだ。

彼は手の扇子を賀騰に向け、いつでも攻撃できる構えを見せた。

しかし賀騰は少しも動揺せず、唐末を一瞥して淡々と笑いながら言った。「唐末、お前の実力が並々ならぬことも、武聖の器を持っていることも知っている。だが残念ながら、私には何もできないだろう...」

賀騰の言葉を聞いて、秦玉の表情が一変した!

「まずい!この賀騰は空間術法を使える。逃げられないように気をつけろ!」秦玉は慌てて叫んだ!

賀騰は冷笑して言った。「よく知っているな。だが、もう遅い!」

秦玉は考える暇もなく、すぐさま金の拳を握り締め、力強く一撃を放った!

「轟!」

しかし、その一撃は賀騰の体をすり抜けてしまった!

「ふふ、秦玉よ、この薬材は私のものだ。さらばだ...」賀騰は口を歪めて笑った。

彼の姿は徐々に透明になり、虚空に消えていくようだった。

明らかに、賀騰の空間術法はさらに進歩していた!

秦玉は表情を険しくし、心の中では絶望感が募っていた!

この薬材を手に入れられなければ、秦玉には小黒に勝つ機会が全くないのだ!

「賀騰...この忌々しい野郎!」秦玉は目を剥いて怒りを爆発させた!

秦玉が絶望的な状況に陥ったその時、透明化しかけていた賀騰の姿が、再び実体化し始めた!

消えかけていた彼の姿が、再び皆の前に現れたのだ!

賀騰は眉をひそめ、自分の体を見つめながら低い声で言った。「これは一体どういうことだ?」

「空間術法を使えるのは、お前だけじゃないぞ」その時、近くにいた八字髭が淡々と言った。

振り返ると、八字髭の手には無数の符籙が握られていた。

これらの符籙が空中に浮かび、この空間を封じ込めていた!

ここは牢獄のようになり、空間術法では逃げられない!