秦玉は心の中で思わず「馬鹿め」と呟いた。
守道者の前では、この武聖の器など、恐らく全く効果がないだろう。
「琴ばあやが武聖の器を持ってきたなんて!」
「どうやら秦玉を殺す覚悟を決めたようだ!」
「秦玉から飛び出したあの二体の死体は何に使うんだろう。」
人々は口々に噂し合い、明らかに今の危険な状況に気付いていなかった。
秦玉は心中焦っていたが、どうすることもできなかった。
琴ばあやは武聖の器を握り締め、冷たい目で守道者を見つめながら、大声で叫んだ。「今日こそ、お前たち二体の死体を粉々にしてやる!」
怒号と共に、琴ばあやは手にした武聖の器を発動させ、守道者に向かって突進した!
守道者は表情一つ変えず、氷のような面持ちだった。
自分に向かって突進してくる琴ばあやに対し、守道者はただ顔を少し上げ、鋭い眼差しを向けただけだった。