秦玉は軽く頷いた。
彼は紫炎宗の意図を見抜いていた。
「ところで、この紫炎宗は強いのか?」と秦玉は尋ねた。
薛玉傑は秦玉を一瞥し、頷きながら言った。「ああ、彼らは二十人以上の武侯を擁し、その中には数人の武侯頂点がいる。」
「それ以外は?」と秦玉は更に尋ねた。
これらの武侯など、秦玉にとっては眼中にもなかった。
武聖に関わらない限り、秦玉は何も恐れなかった。
「それ以外?どういう意味だ?」薛玉傑は明らかに理解できていなかった。
秦玉は言った。「例えば、武聖の器?あるいは武聖の力、もしくは武聖は?」
薛玉傑は嘲笑って言った。「武聖だと?彼ら紫炎宗に武聖がいれば、なぜこの盛国に隠れる必要があるんだ?」
秦玉は考え込んだ。確かにその通りだった。
もし武聖がいれば、天下に紫炎宗を制限できる者などいないはずだ。
「薛家には六人の武侯しかおらず、とても紫炎宗の相手にはならない。」薛玉傑は深いため息をついた。
「奴らの目的はおそらく君と同じく、武聖の力を狙っているのだろう。」薛お爺さんは重々しく言った。
秦玉は顎を撫でながら言った。「そういうことは、紫炎宗と対抗するには武聖の力を使わなければならないということですね?」
「ああ。」これについて、薛玉傑は隠さなかった。
秦玉は更に尋ねた。「では、その武聖の力は何回使えるのですか?」
傍らにいた薛玉芝が説明した。「秦玉、あなたは武聖の力についてよく知らないようですね。」
秦玉は苦笑いして言った。「確かに知りません。」
薛玉芝は続けた。「武聖の力は一度しか使えません。一度誰かの体に注入されると、その力はその人のものとなります。」
秦玉は驚いて言った。「つまり、この武聖の力は永遠にその人の体内に留まるということですか?」
「そういうわけではない。」薛玉傑が話を引き継いだ。
「武聖の力は武聖の手段の一つで、その効果は受け手の実力次第だ。」
「もし武聖の力を大宗師の体に注入すれば、効果どころか、大宗師は体が爆発して死んでしまう。」
「そして、この武聖の力が留まる時間は、通常一ヶ月を超えることはない。」
薛玉芝は頷いて言った。「そう、つまり武聖の力は一度使うと消えてしまう、時間の問題だけです。」
秦玉はようやく理解した。