その指から放たれる殺気が、秦玉の胸に向かって迫ってきた!
秦玉は微動だにせず、顔には冷たさが漂っていた。
「シュバッ!」
数条の光が、まっすぐに秦玉の胸を引っ掻いた!
しかし、予想された内臓破裂の光景は起こらず、秦玉の胸には数本の白い跡が残っただけだった!
趙老は顔色を変え、退こうとしたが、もう遅かった!
秦玉は手を伸ばし、一気に趙老の頭を掴んで、空中に持ち上げた!
趙老は必死にもがいたが、まったく振り解けなかった!
「趙老、まだ戦う必要がありますか?」と秦玉は尋ねた。
趙老は必死にもがきながら、怒鳴った。「まだ勝負はついていない!」
秦玉はその様子を見て、ため息をつくしかなかった。
彼の手の力が徐々に強くなり、趙老の頭は激痛に襲われ、バキバキという音まで聞こえてきた!
「あぁっ!!」苦痛で、趙老は悲鳴を上げた!
薛家の人々は目を丸くして見つめていた!
この武侯頂点の強者が、秦玉の手の中でこんなにも無力だとは?!
「もういい、秦玉、十分だ。趙老を放してやってくれ」と薛玉傑は急いで言った。
秦玉はようやく趙老を放し、脇へと投げ捨てた。
「どうです、私は嘘をついていませんでしたよね?」と秦玉は手を広げて言った。
薛家の人々は苦笑いを浮かべるばかりだった。
このような実力は、本当に人を震撼させるものだった。
「なるほど、閣主があなたをそれほど褒めていたわけだ。武聖になれるとまで言っていたし...」と薛玉芝は感嘆した。
「武聖に?」薛玉傑は眉を上げた。
薛玉芝は笑って言った。「ええ、炎国薬神閣閣主が言っていたわ。秦玉は武聖の壁を破る最初の人になるかもしれないって」
これを聞いた薛玉傑は大いに驚いた。
武聖は長年現れていないのだ!
もし現代で武聖になれば、武道界全体を統べることも不可能ではない!
「薛さん、この武聖の力を私の体に注入すれば、必ず最大の効果を発揮できると思いませんか?」と秦玉は尋ねた。
薛玉傑は顎を撫でながら言った。「この武聖の力は一度使えば消えてしまう。それをあなたの体に注入して、どんな利点があるというのだ?」
秦玉は少し考えてから笑って言った。「薛さん、あなた方が武聖の力をそれほど重視しているのは、薛家を守るためですよね?」
「その通りだ」薛玉傑は頷いた。