第799章 鴻門の宴

ここまで話して、駱靖宇の顔にも少し安堵の色が浮かんだ。

「秦玉の様子を見る限り、彼はこの指輪の中の秘密に気付いていないようだ。これは不幸中の幸いだな」と駱靖宇は小声で言った。

傍らの駱揚は心配そうに言った。「もしこの二日で気付いたらどうする?私が知る限り、彼の側にいる八字髭の男は何か知っているようだが」

その言葉を聞いて、駱靖宇の表情が僅かに変化した。

彼は眉をきつく寄せ、顔には強い懸念の色が浮かんでいた。

「どうしても駄目なら、京都武道協会の人に圧力をかけてもらうのはどうだろう?」と駱揚は提案した。

駱靖宇は首を振り、冷たい声で言った。「既に頼んでみたが、京都武道協会の人々は秦玉が彼らを全く相手にしないと言っていた」

「お父さん、私たちはどうすればいいの?」駱揚は憂いに満ちた表情を浮かべた。

駱靖宇はため息をつき、小声で言った。「成り行きを見守るしかないな」

...

一方、秦玉は帰宅後、すぐに引き出しを探り、その指輪を取り出した。

指輪を弄びながら、彼は小声で言った。「天機閣がこれほどの宝物を持ってきたのは、この指輪を取り戻すためだ。つまり、この指輪はさらに価値が高いということだ」

とはいえ、これは奪ってきたものだ。秦玉としては、返すのが当然かもしれない。

「おや、どこからこんな宝物を手に入れたんだ?」そのとき、八字髭が外から入ってきた。

秦玉は事の経緯を八字髭に説明した。

八字髭はそれを聞いて、顔に驚きの色を浮かべた。

彼は眉をひそめて言った。「私が知る限り、この駱靖宇はろくな奴じゃない。こんな謝罪なんてするはずがない」

「ああ、そうでなければ駱揚のような性格の息子は育たないだろうな」秦玉は軽く頷いた。

彼は指輪を八字髭に渡して言った。「この指輪に何か秘密があるか分かるか?」

八字髭は言った。「もしかしたら、中に何か宝物が隠されているのかもしれないな」

その言葉を聞いて、秦玉は自分の神識をその中に探りを入れてみた。

しかし、その神識が入った瞬間、霧のような物が押し寄せてきた。

周囲は一瞬にして真っ暗になり、方向が分からなくなった。

秦玉の神識は、空間神器の中で瞬時にその効力を失った。

秦玉は急いで神識を引き戻し、眉をひそめた。