第798章 天機閣の法器

琴ばあやは顔を曇らせた。彼女は武聖の器を使って、強引に遺体を持ち帰るつもりだった。

しかし今、なぜか秦玉と向き合うと、心に恐れを感じていた。

それが二つの遺体のせいなのか、それとも秦玉自身のせいなのか分からなかった。

しばらく考えた後、琴ばあやは冷ややかに言った。「約束は守ってもらいたいものだ。さもなければ、京都武道協会が黙ってはおかないぞ!」

そう言い残すと、琴ばあやは背を向けて立ち去った。

その後ろ姿を見つめながら、秦玉は思わず冷笑した。

「来い、同じ武聖の力を持つ者同士、どちらが強いか見せてもらおう」と秦玉は冷笑いながら言った。

琴ばあやは自分の住まいに戻った。

彼女は自分の体にくっついている小黒を見て、思わず笑みを浮かべた。

「上層部が承諾してくれた。明後日には化形丹をくれるそうだ」と琴ばあやはにこやかに言った。

「そうすればお前も人の姿に戻れる」

その言葉を聞いて、小黒は大きな頭で琴ばあやを優しく擦り寄せた。

その時、琴ばあやは軽くため息をつき、小声で言った。「あの秦玉が現れてから、京都は本当に落ち着かなくなってしまった」

秦玉の名前が出た途端、小黒は舌を出し、体を震わせ始めた。

怒りの気配が部屋中に漂い、家全体がぶんぶんと震動した。

琴ばあやは宥めるように言った。「お前が彼を憎んでいるのは分かっている。安心しなさい。人の姿に戻ったら、チャンスを与えてあげるから」

その言葉を聞いて、小黒の震える体はようやく落ち着きを取り戻した。

...

その後しばらくの間、秦玉は八字髭の屋敷から出なかった。

ある日、秦玉が空間神器から造化の力を取り出そうとしたとき、外から誰かが入ってきた。

「秦玉、お客様です」来たのは武道学院の職員だった。

秦玉は彼を一瞥し、眉をひそめて言った。「お客?誰だ?」

「天機閣閣主の駱靖宇です」

その名前を聞いて、秦玉は眉を上げた。

天機閣閣主?訪ねてきたというのか?

「分かった、すぐに出向く」と秦玉は言った。

彼は造化の力を収め、口元に冷笑を浮かべた。

どうやら、天機閣閣主は清算に来たようだ。

秦玉は立ち上がり、大股で武道学院を出た。

学院の門前には、老若二人が立っていた。

この二人こそ、天機閣の父子だった。

そして彼らの後ろには、三人の従者がいた。