秦玉の速度は極めて速く、彼は歯を食いしばり、全身の力を振り絞って出口へと駆け出した!
出口に近づくにつれ、秦玉の心はますます焦りを感じていた!
なぜなら、顔若雪を救出する途中で、あまりにも多くの予期せぬ出来事が起きていたからだ!
出口は依然として光を放っており、秦玉は突然、背後から極めて強大な力が迫ってくるのを感じた!
「まずい!」秦玉は心の中で呟き、即座に速度を上げ、出口へと猛ダッシュした!
「ゴォン!」
轟音が秦玉の耳元で響き渡った。
秦玉の姿は、ついに出口を突き抜けた!
背後の気配は瞬時に消え、秦玉は出口の脇に立ち、荒い息を吐いていた。
彼は少女を脇に放り投げ、その後、腕の中の顔若雪を見下ろすと、思わず涙が溢れ出た。
「若雪、やっと救い出せた...」
この瞬間、秦玉は涙を流し、声を詰まらせた。
彼は片膝をつき、顔若雪を強く抱きしめ、全ての感情がこの瞬間に爆発した。
「秦玉...」顔若雪は玉葱のように白い指を伸ばし、そっと秦玉の頬に触れた。
秦玉は顔若雪の手を掴み、震える声で言った。「若雪、大丈夫だ、もう大丈夫だ、すぐに連れて行く...」
顔若雪の顔に、かすかな笑みが浮かんだ。
彼女は震える手を伸ばし、秦玉の頭を撫でようとした。
しかし、激痛が走り、顔若雪の手は力なく下がってしまった。
「若雪!」秦玉はその様子を見て、心が刀で切られるような痛みを感じた。
この瞬間、彼の京都武道協会への憎しみは極限に達した!
「京都武道協会...お前たちが与えた苦しみは、千倍百倍にして返してやる!」秦玉の怒号は、京都武道協会全体に響き渡った!
傍らの鄭柯は冷たい声で言った。「まずはここを離れましょう。」
秦玉は鄭柯を一瞥し、深く息を吸い込むと、顔若雪を抱き上げ、大股で外へと向かった。
「お前も一緒に来い。」秦玉は第二の秘境から連れ出した少女に冷たい目を向けて言った。
少女は何も言えず、ただ秦玉の後ろについて行くしかなかった。
三人は、大股で京都武道協会の外へと向かった。
この時、腕の中の顔若雪の気は極めて衰弱しており、秦玉は急いで顔若雪に霊気を送り込んだ。
入口まで来た。
秦玉と鄭柯は、同時に足を止めた。
鄭柯は冷たく秦玉を見つめ、秦玉の目にも殺意が宿っていた。
「秦玉、彼女は我々が連れて行く。」鄭柯は冷たく言った。