玄関の前。
顔四海親子と顔永修が、玄関で待っていた。
その他にも、顔四海のボディーガードがすぐ側に控えていた。
その時、秦玉が薬神閣から出てきた。
彼の表情は冷たく暗く、全身から殺気が漂っていた。
その様子に、顔四海は眉をひそめた。
「秦玉!」顔永修が大声で叫んだ。
今の秦玉を見て、顔永修は言い表せない感情を抱いた。
初めて秦玉に会った時は、何の取り柄もない人物だったのに、今やこれほどまでに成長するとは、顔永修には想像もつかなかった。
秦玉は顔永修を無視し、冷たく尋ねた。「顔四海、用件を言え」
葉巻をくわえた顔四海は、淡々と言った。「よし、では本題に入ろう」
「顔若雪を連れ去ったそうだな?」
秦玉は冷笑して言った。「お前に関係あるのか?」
顔四海は冷たい表情で言った。「顔若雪は我が顔家の者だ。関係ないわけがないだろう?」
その言葉を聞いて、秦玉は怒りで笑いが込み上げてきた。
彼は顔四海の鼻先を指差して言った。「顔四海、お前、恥を知れ!顔若雪が京都武道協会で苦しんでいた時はそっぽを向いて、今更顔家の人間だと?」
秦玉の皮肉に対して、顔四海は怒る様子もなかった。
彼は淡々と言った。「それはお前には関係ない。我が顔家の者をどう扱おうと、お前には関係ないことだ」
「ふざけるな!」秦玉は我慢できずに罵った。
「顔四海、さっさと消えろ。でないと、人を殺すかもしれないぞ」
その言葉を聞いて、顔四海は思わず一歩後ずさりした。
同時に、彼の側にいたボディーガードが急いで前に立ちはだかった。
「秦玉、私は喧嘩をしに来たわけではない」顔四海は冷たく言った。
「顔若雪は成人した人間だ。彼女自身に選択させろ」
秦玉の眉間にしわが寄った。
今の顔若雪は昏睡状態にあり、どうやって選択などできるというのか?
顔四海はまるでそれを知っていたかのように、薄く笑って言った。「もし顔若雪自身が選択できないのなら、後見人が選択すべきだ」
「顔永修は顔若雪の父親だ。彼に最も権利がある。もし人を渡さないなら、警察に通報する」
「秦玉、お前がどれほど大胆でも、官憲に逆らう気か?」
顔四海の言葉は、明らかに秦玉の怒りを煽った。
彼は顔四海を睨みつけ、冷たく言った。「お前は本当に厚かましいな...」
「無駄話はよせ」顔四海は冷笑した。