顧子真は急いで追いかけ、二人は大殿を出て、人気のない場所に来た。
「話せ、なぜ彼を逃がしたのだ」顧子真は冷たく問いただした。
摘星は冷ややかな目で顧子真を見て、言った。「あの子が誰だか知っているのか?」
「秦玉?ふん、よく言い訳を思いつくな」顧子真は冷笑した。
「彼の背景については、我々は調査済みだ。幼い頃から孤児で、婿養子として入った男だ。何の背景もない。ただ運が良く、多少の実力があるだけだ」
「しかし、彼の実力はお前の目には全く取るに足らないはずだ」
摘星は深く息を吸い込み、大声で叫んだ。「彼は守道者の息子だ!私が彼を殺せば、守道者が我々を許すと思うのか!」
その一声で、顧子真はその場で凍りついた。空気までもが凝固したようだった。
「何だと?!彼が守道者の息子だと?!」数分後、やっと顧子真は我に返った。
摘星は冷たく鼻を鳴らした。「私が秘境を出て彼を殺しに行くこと自体、守道者の定めたルールに違反している。もし彼の実の息子を殺せば、私が生きていられると思うか?」
顧子真の表情が曇った。
彼はその場に立ったまま、しばらくの間何も言わなかった。
「この件は誰から聞いたのだ?」顧子真は急いで尋ねた。
摘星は重々しく言った。「薬神閣の閣主だ。彼女は守道者と何らかの関係があるようだ」
顧子真は眉をひそめた。「その情報は確かなのか?」
摘星は冷笑して言った。「確かだろうが確かでなかろうが、お前はそのリスクを冒す気があるのか?」
「かつて京都武道協会が無謀な行動を取った結果、数十人の武聖が命を落としたではないか!」
当時の出来事を思い出し、二人とも背筋が寒くなった。
「そうなると...我々は彼に手を出せないということか?」顧子真は眉をひそめた。
「いや」摘星は首を振った。
「あの守道者は極めて頑なな人物だ。自分で定めたルールは、自分で決して破ることはない」
「我々が約束に違反しなければ、たとえ息子を殺しても、恐らく何も言わないだろう」
顧子真は顎を撫でながら、低い声で言った。「それもそうだな。あの男は人情を解さない」
「忠告しておくが、第二の秘境から出ない方がいい」摘星はそう言い残して、立ち去った。
顧子真はその場に立ったまま、しばらくの間何も言わなかった。
「どうやら...息子に頼るしかないな」顧子真は低い声で呟いた。