秦玉の言葉を聞いて、万古瓊の顔に気づかれないような笑みが浮かんだ。
「秦玉、そんなに慎重なの?」と万古瓊は言った。
「人に騙されすぎて、慎重にならざるを得ないんだ」と秦玉も隠さずに答えた。
万古瓊は少し考えて、「わかったわ、携帯で写真を撮って送るわ」と言った。
「ありがとうございます」秦玉は軽く頭を下げた。
その後、秦玉はそれ以上留まることなく、二人に別れを告げて姚家を後にし、急いで薬神閣へと向かった。
閣主と姜和を信頼していたものの、誰かに奪われることを心配していた。
清河鎮まで一気に走った。
車を降りた瞬間、秦玉は何か違和感を覚えた。
周囲の気配は極めて平穏に見えたが、その平穏さの中に殺気が潜んでいるようだった。
秦玉は目を細めて、冷たい声で言った。「来ているなら、隠れる必要はないだろう。出てこい」
言葉が終わらないうちに、数人の影が暗がりから現れた。
「秦玉、また会えたな」
話したのは、洪一門の長老、沈一春だった!
彼の傍らには、さらに四人が従っていた!
この四人の気配は強大とは言えないが、一挙手一投足に不思議な波動を帯びていた。
「沈一春、前回は逃がしてやったが、まさか来る勇気があるとはな」と秦玉は冷たく言った。
沈一春は薄く笑って言った。「前回は確かに君を見くびっていた。だが今回は万全の策を講じてきたぞ」
「そうか?」秦玉の表情はますます冷たくなった。
「秦玉、我が洪一門は君にまだ興味がある。前と同じ話だ、我々に加わればいい。そうすれば顔若雪とも再会できる。どうだ?」と沈一春は穏やかに笑いながら言った。
秦玉は思わず冷笑した。「裏切り者の集まりが。チャンスをやったのに、結局は俺を陥れようとした。よくもそんなことが言えたものだ」
「お前も我々に警戒心を抱いていたではないか」と沈一春は軽く鼻を鳴らした。
「秦玉、我々に加わることを約束すれば、私の一存で三つの秘境を与えよう!」
「今のお前の状態では、最も必要なのは霊気だろう?秘境はお前にとって、とても重要なはずだ」
秦玉は考え込むように言った。「その通りだ。秘境は確かに俺にとって重要だ」
「三つの秘境があれば、半歩武聖の境界に踏み込むのに十分だ」
「だが君子は財を愛するも、それを得るには道がある。お前たちのような宗門とは、協力する必要はないな」