秦玉は張逸九を引っ張り上げ、素早く寒宮の方向へと急いだ。
この時、張逸九も多くを語らず、ただ秦玉を連れて寒宮に駆け込んだ。
寒宮の地形は非常に複雑で、この時、彼らの宮主は氷結した密室の中で修行していた。
密室の前まで来ると、張逸九は中を指差して言った。「宮主はその中にいます。私はここまでです。」
秦玉は「うん」と返事をし、入り口から中に座っている男を鮮明に見ることができた。
男は腰まで伸びた長髪で、体からは寒気が漂っていた。
そして彼の頭上には、氷晶のような石が浮かんでいた。
石は淡い青色で、今まさに一筋一筋の気が男の体内へと流れ込んでいた。
秦玉は時間を無駄にできないと、拳を握り締め、一気に扉を殴りつけた!
扉は即座に砕け散り、その巨大な音は寒宮全体を震わせた。
秦玉は素早く宮主の前まで歩み寄り、目の前の光景を見て、顔に驚きの色を隠せなかった。
「これは...武侯から武聖へ突破しようとする兆候だ!」秦玉は思わず驚きの声を上げた。
もし少し遅く来ていたら、何が起こっていたか想像もできない!
秦玉は金芒を握り、一撃で宮主の命を絶とうとした。
しかしその時、宮主の頭上に突然一つの虚影が現れた。
虚影と言っても、ほぼ実体化していた!
この時、宮主の虚影は冷たく秦玉を見つめ、言った。「お前は何者だ?」
秦玉は驚いて言った。「これは...まさに形成されようとしている元嬰?本当に武聖の境に踏み入ろうとしているのか?」
武聖とは修道界の元嬰境界なのだ!
一旦元嬰の境に入れば、金丹は消失し、代わりに元嬰が生まれる!
元嬰が形成されれば、肉身から離れることができる!
そうなれば、肉身が何度崩壊しても、再生できるのだ!
「お前は一体何者だ!ここに侵入するとは、死にたいのか!」宮主は再び問いかけた。
秦玉は冷笑して言った。「その元嬰が本当に形成されていれば、私も手出しはできなかっただろう。だが残念なことに、今はちょうど砕丹凝嬰の重要な時期だろう?」
宮主の表情が一変した。
秦玉の言う通り、武聖に踏み入るには必ず砕丹凝嬰の過程を経なければならない!
そしてこの過程で、金丹が砕け、まだ元嬰が形成されていない時は、極めて虚弱になる!全ての修為が失われ、普通の人間と変わらなくなる!
そのため、武聖に踏み入る時は、必ず護法の者が必要なのだ!