第140章 自殺行為の達人

「この金色の液体の出所。」

占いの言葉を7回心の中で唱えた後、クラインは羊皮紙を手に取り、虚像の金色の液体を握りしめ、椅子の背にもたれかかった。

 完全に感覚のみに頼って出現させたアイテムで占いができるかどうかはわからなかったが、大胆に仮説を立て、慎重に検証してみるしかなかった。

 ものの数秒で、クラインは瞳が褐色から漆黒に変わり、瞑想状態に入っていった。

 まぶたが重くなり、幻想的でおぼろげな夢の世界が「見え」てきた。

 ぼんやりとしたばらばらの世界に、突如、金色のまばゆい光を放つ太陽が飛び出してきた!

 低い唸り声が無数の虚空の向こうから聞こえてきたかと思うと、清らかな明るい光が一瞬で全てに火を点け、金色の灼熱の炎が瞬く間に燃え広がっていった。

 ゴーッ!

 クラインはあっという間に夢の世界からはじき飛ばされ、全身を震わせながら横向きに倒れた。全身がたいまつのように炎に包まれ、ぼうぼうと燃え盛っている。

 この時、クラインは完全に思考が乱れ、何一つまともに考えられなかった。

 ドーンッ!

 灰色の霧の上の神秘的な空間を強烈な揺れが襲った。そびえ立つ広大な宮殿がガラガラと崩れ落ち、その破片が古びてまだらに錆びた青銅の長テーブルに落下して穴を開け、テーブルを割った。

 この恐ろしい変化はわずか3秒ほどでぱたんと収まった。灰色の霧の上は、まるで何も起こらなかったかのように、再び静寂を取り戻した。

 クラインの全身を包んでいた金色の炎も静かに小さくなっていった。クラインは体表面が黒焦げになり、叫びながらのたうち回っていたが、少しずつ考える力を取り戻した。

 なんとか椅子の肘置きをつかみ、よろよろと立ち上がると、さっきの衝撃を思い出して恐ろしくなり、思考が止まった。

 それまで、たった1回の占いがこんな結果をもたらすなど考えたこともなかったのだ!

 クラインは肩で息をすると、頭を上げて周囲を見回し、いにしえからその姿を保ってきた広大な宮殿と古い長テーブルが破壊されているのに気づいた。これまで一度も異常など起こったことのなかった「灰色の霧の上」の空間にとっては、前代未聞の被害だった。