深紅が消え去ると、デリック・バーグの目の前には再び自分の寝室、そしてあの澄み切った水晶玉が現れた。
パリンッ!
水晶玉が内から外へと砕け散り、無数の幻想的な光が辺りの虚空に飛び散り、きらきらと輝きながら床へと舞い落ちた。
デリックは無言で呆然とその光景を見つめていた。隣の銅鏡に映るデリックの顔には血の痕が入り乱れ、右手の甲には深紅の光が渦巻き、線状の光を放つ円が浮かんでいる。
この奇妙な記号は瞬く間にデリックの手の甲に溶け込み、完全に消え去った。
幾筋もの稲妻が空を照らす中、呆然としていたデリックは、ようやく夢から覚めたようにはっと我に返った。
地面に散らばった水晶玉の破片を見つめ、右手の甲を確認すると、デリックの目は次第に暗く重くなっていった。
寝室を出てリビングに戻り、ドアを開けると、デリックは白銀の都に広がる空を見上げた。
一筋の稲妻が走り、辺り一面を銀色に染めたかと思うと、雷鳴の轟音とともに、世界は闇に包まれた。それは絶望を感じさせるほどに暗く重く凝縮された、一筋の光もない闇だった。
デリックは両手の拳を握りしめ、目に喜びの色はない。依然として悲痛の色がにじんでいる。
しかし、もう迷ってはいなかった。
…………
ふぅ、メンバーをまた1人引き込めた。いや、増やしたというべきか……クラインは苦笑しながら首を横に振り、タロット会の現在の実力を自嘲した。
リーダーである「愚者」がまだ序列9で、「占い師」のポーションを消化したばかりにすぎない。
一方、「太陽」いわく、全く希望の見えない白銀の都には序列4の上位序列の強者が少なくとも3人もいる。
「もう少し詰めれば、隊長に状況を説明し、特別申請ができる。『ピエロ』になってしまえば、少なくともただのサポートではなくなる。」クラインはそこには留まらず、霊性を展開して自分を包み込み、急降下した。
灰色の霧とささやきを通り抜けて部屋に戻ると、霊性の壁を解除した。
クラインは鍵を手に取ると、部屋を出て、まずダンが予約した二部屋に行き、ダンとフライがまだ戻っていないことを確認すると、1階に下り、鍵を宿の店主に渡した。
店主は壁の時計に目をやると、クラインに親指を立てた。