第144章 三者間取引

実際には3ページあるけれど、言葉が複雑すぎて覚えられない。今は2ページちょっとが限界……これ以上だともう訳が分からない……続きは次回までお預けだわ……オードリーは黙って心の中で付け加えた。

 新しいロッセール大帝の日記か?クラインは元気を取り戻し、答えがわかっていながら笑ってこう尋ねた。

「ミス・正義、君が手に入れたいものは何だい?」

 オードリーはその瞬間目を輝かせたが、取りつくろって答えた。

 「あなたもご存じの通り、『観衆』ポーションはもうすぐ消化してしまうから、『読心者』ポーションの処方箋をもう少し早く入手できれば、事前に材料を準備できると思うんです。まあ、この2ページの日記にはたいしたことは書いてないし、『読心者』の処方箋の価値に見合うほどの内容ではないかもしれないから、もう1ページ差し上げます。そうね、追加分をお支払いしますわ……」

 言い終わらないうちに、オードリーは突然しくじったと感じ、思わず心の中で自分を激しく罵った。

ミスター・愚者は少なくとも神に近い偉い方なのだから、低俗なお金のことなんて気にするわけがないのに!

 そこでオードリーは「観衆」の状態を維持できなくなり、口ごもりながらこう付け加えた。

「そういう意味じゃないんです!ミスター・愚者、私が言いたかったのは、ご自身が望む補償を指定できるということなの。ええ、そうなんです!」

 君のその提案は気に入ったよ……俺はこう答えよう。「観衆」のポーションを完全に消化した後に、次の処方箋を受け取ることができる。私には手下がいる。いや、もっと威厳のある言葉を使うべきだな、「眷者」だ。彼はあることで忙しくて、たまたまお金が必要になった。これは彼の匿名口座、ベークランド銀行の彼の匿名口座だ……うん、今週は変装してベークランド銀行のティンゲン支店に行って、匿名口座を開設しよう……クラインはすぐには答えなかった。深いことを考えているように見せておいて、実際には慎重に言葉を選んでいたのだった。

 ベークランド銀行はルーン王国の7大銀行のひとつで、決済権を握っている。