クラインは小型射撃場の中をうろうろと何歩か歩き、「占い師」の序列に関する黒夜女神教会の意図を考えた。
「彼らは夜を統べる者がこの経路を選ぶことを望んでいないか、または夜を統べる者がこの経路上で強大になることを望んでいない。だから補助的役割が明確な序列9の『占い師』だけを伝えた?隊長も、聖堂はおそらく後続の処方箋を持っていると言っていた……」
「いや、俺が見られる機密資料の中には、序列8と序列7に対応するポーションの名称さえなく、対応する戦闘の特徴の説明だけだった……つまり、彼らは上層部が相応の情報をつかんでいるということを下の者たちに知られたくない……」
「まさか、この経路を選んだ夜を統べる者は全て、アンティゴノス家の『復讐の悪霊』に変わってしまうのか?だから教会の上層部はこのような決定を下した。あるいは、別の理由があるのか?」
しばらくの間、クラインは黒夜女神教会上層部に対する疑念でいっぱいになり、強い警戒と用心の気持ちを始めた。特別申請を出し、正々堂々と「ピエロ」になるべきか否かを改めて考え始めた。
「もしも何か恐ろしい秘密が隠されているとしたら、俺は自分から火山の火口に身を投げるようなものではないか?俺は平気で厳しい取り調べを受けられるような人間でもないし……」
「でも、ティンゲン支部には『ピエロ』の処方箋がある。『占い師』であるメンバーがこの事を知ったら、昇進したいと思うのはごく自然なことだろう?それに序列8はまだ低序列だし、それほど大きな注意は引かないはずだが……」
「唯一の問題は、俺がたった1カ月でポーションを完全に『掌握』したことだ。特別申請を提出して、上層部が『演技法』を知り、理解しているのであれば、すぐに肝心なところを見抜かれてしまうだろう……もちろん、俺にも十分な理由がある。なんといっても『霊能者』デイリーと知り合いだし、格言を厳しく守る『秘密を覗く者』ニールとは友人だ。そこからインスピレーションを得て、さらに進めて『演技法』を完成させたといえば、理解できない理屈ではない。」