第66章 治療不可能?

高岡さんは恐縮して言った。「わかりました!」

  去る前に、彼は寺田凛奈を見て言った。「君は若いから、もう少し考えた方がいい。寺田さん、時間を無駄にしないように、早く行きましょう!」

  彼と今泉唯希が去った後、周りの人々が寄ってきた。

  「あなたが渡辺詩乃の娘だったとは!言っておくけど、高岡さんに師事できるなんて、こんなチャンスは逃さないでね!」

  「彼女は若いからね。渡辺昭洋、あなたも分別をわきまえないとダメよ!今泉唯希を見てごらん。高岡さんに師事してから、第一病院の主治医になったじゃない。名声も大きく上がったし...」

  周りの人々が説得する中、寺田凛奈は寺田真治たちが去った方向をじっと見つめていた。

  寺田亮がもうダメかもしれない...

  見に行くべきかどうか?

  でも、さっき寺田真治が言ったことを思い出して、その考えを諦めた。

  まあいいか、人それぞれ運命があるんだから。

  この交流会で、渡辺家は完璧に締めくくった。倉庫に溜まっていた在庫もすべて売り切れ、さらに莫愁丸のおかげで、渡辺家の漢方薬房の地位も何となく安定した。

  少なくとも彼らが去る時には、他の人々はもはや最初のような軽視の態度ではなかった。

  渡辺だじが去るのを見て、藤本凜人はようやく志村の方を見た。彼はすでに予備の携帯を取り出し、メールアカウントにログインして、さっきのメールを開いていた。

  そこには生後1ヶ月の赤ちゃんの写真が載っていた。

  生まれたばかりの赤ちゃんは、実際みんな似たように見えるものだが、この写真の赤ちゃんは柔らかくてぽっちゃりしていて、目鼻立ちがとてもきれいだとわかる。

  藤本凜人は突然、建吾が小さい頃のことを思い出した。体が弱くて、骨と皮ばかりだった...

  渡辺家。

  寺田凛奈たちが家に入ると、家族全員がリビングのソファに座った。

  渡辺昭洋は娘からの電話を受けたばかりで、興奮して口を開いた。「光春が言うには、あのレシピで既に50粒の薬丸を作ったそうだ!レシピに問題はない!我々の莫愁丸は本当に量産できるんだ!」