石丸慧佳は辺りを見回したが、木田柚凪が隣のトイレに入るのを見た。
「慧佳、武井俊樹は何をしているの?」
お付きの子が彼女の腕をつついた。「まさか、あなたがいない間に渡辺光春が人を引き抜いているんじゃないでしょうね?」
石丸慧佳の目が冷たくなり、彼女を連れてそちらに歩いて行った。
二人が近づくと、武井俊樹の声が聞こえた。「……ダンスを習いたいなら、家で木田柚凪を呼べるよ!」
石丸慧佳は唇を曲げた。
お付きの子が得意げに言った。「それどころか、木田先生はあんなに高慢な人なのに、慧佳の名前を覚えているのよ!」
武井俊樹はその言葉を聞いて、彼女を期待に満ちた目で見た。
石丸慧佳は得意げに顎を上げた。「後で木田先生に会ったら、紹介してあげるわ」
武井俊樹はすぐに頷いた。
石丸慧佳は渡辺光春と寺田凛奈を見た。彼女は笑って言った。「いとこ、寺田さん、私から紹介してあげましょうか?」