第35章 京都渡辺家?!

寺田凛奈は立ち上がり、出迎えの準備をした。

二歩歩いたところで、寺田健亮たちがじっと座っているのが見えた。顎を少し上げ、世界中で自分たちが一番偉いという態度を示していた。明らかに外の人を気にしていなかった。

彼女は彼らを無視し、そのまま外に出た。そこには優雅で上品な中年女性が立っていた。

女性は手入れが行き届いており、着物を着ていた。まるで山水画から抜け出してきた美人のようで、歩く姿には書香の家系特有の控えめな魅力が漂っていた。

福山さんはアルコールスプレーを手に持っていた。元々、入ってくるのはおどおどして、体中が汚れた村の女性だと思っていたが、まさかこんな姿だとは想像もしていなかった。一瞬、手のアルコールスプレーをかけるのをためらってしまった。

渡辺奥様の石丸和久(いしまる かずひさ)は優しく微笑んだ。「凛奈、また会えたわね!」